南北に走るロッキー山脈のおかげで、コロラド州には標高14,000フィート(4,270m)を超える山が50峰以上あることをご存じだろうか。州都のデンバー市ですら空港や街が標高1600mを超え、“The Mile High City”の異名をとる。その近郊のボルダーは高地トレーニングの聖地としても有名だ。このほどそんなコロラド州で、それまで健康であった女子大学生が登山中に急死してしまった。
登山中の高山病により死亡したとみられるのは、ペンシルベニア州カレッジビルから来ていた20歳のスザンナ・デフォレストさん。友人と一緒の旅で、スキーリゾートとして有名なアスペンを擁するコロラド州ピトキン郡の山々を登る準備も万端というなか、一行は17日にコナンドラム・クリーク・トレイルから出発した。目指したのは標高2,651~3,413mという13.6kmのコースで、起伏にとんだなかなかハードなコースであるという。
その途中でスザンナさんは徐々に体調不良を感じるようになり、息切れに続いて吐き気を催し、ついに嘔吐した。全身症状が急激に悪化したため友人が911番通報を試みたが、そこは電波の圏外であった。スザンナさんに付き添うことにした友人1名と救助を求めるために下山した友人2名。同郡保安官代理のアンソニー・トダロ氏は22日の午後の会見で当時の状況をこう説明している。
「コースはもちろん駐車場ですら電波は通じていません。彼女たちがやっと電波が通じる場所を探した時は午後10時45分にもなっていたのです。通常、夜間に救助隊員が出動することはありませんが、女性の所在もわかっていることからヘリコプターでの出動が決まりました。キャンプ場の近くは強風で近づけず岩盤地帯になんとか着陸しましたが、すでに午前3時30分になっており、スザンナさんの命を救うことは叶いませんでした。」