ヨーロッパにはアフリカやアラブ、アジアなど、世界各地からやって来た移民が多く暮らしている。EU主要国ではこうした人々が移住先の国籍を取得していることも多いため、肌の色だけで誰が“国民”なのか、“外国人”であるかという識別は不可能である。だが一方で肌の色に対する偏見も多く残っており、白人でない人々がいわれのない差別を受ける例は枚挙に暇がない。イタリアでもこのほど、肌の色が黒いからという理由でリゾート地の宿泊を拒否されたという出来事が起こった。
キューバ出身でイタリアに帰化し、現在はミラノのマルペンサ空港の職員として働いているクリストバル・ロハスさんは、妻のジョセフィーヌさんと共に8月15日のフェラゴスト(聖母被昇天祭の祝日)を南部のリゾート地マルゲリータ・ディ・サヴォイアで過ごそうと、現地ホテルを予約した。
しかしロハスさん夫妻は一部代金を支払っていたにもかかわらず、ホテルのオーナーは夫妻を一目見るなり「当施設では肌の黒い客は受け付けていない」と宿泊を拒否したという。
ロハスさん夫妻は幾度かマルゲリータ・ディ・サヴォイアで過ごしたことがあり知人もいたことから、幸いにも他の宿泊施設を見つけることができた。だが今回のような経験は初めてのことであり、ジョセフィーヌさんは『Repubblica』紙のインタビューに「思いもよらない出来事にひどく失望しました」と話している。
同紙がロハスさんの宿泊を拒否したホテルのオーナーに取材したところ、人種差別的な発言をしたかどうかという裏付けはとれなかったものの、夫妻の退去を促したことは認めたそうだ。