弁護士を自分で雇うことができない被告人にとって、裁判の公平な進行のために何としても居てくれなければならないのが公選弁護人である。だが無慈悲な殺人を犯したとして裁かれる男にその存在の有難みは理解できなかったようだ。このほど米ニュージャージー州のある裁判所で、被告人の暴力により弁護士が顔に大怪我をした。『The Black Loop』ほかが伝えている。
ニュージャージー州のマーサー郡保安官事務所によれば、事件は郡刑事裁判所の法廷で先月29日の午後3時50分ごろに起きた。被告人は、2014年に起きたサイラス・ジョンソンJr.さん(64)銃殺事件の容疑者であるランディ・ワシントンという35歳の男で、ほかの殺人事件や窃盗にも関わった疑いがもたれている。ワシントンの弁護にあたったのは公選弁護人のジェシカ・ライオンズさん。すべての審理が終了して陪審員が評議のため退席した後、ワシントンはいきなり拳を握りしめてライオンズさんの顔を殴ったという。
2名の法廷警備員がただちにワシントンを取り押さえ、ほかの警備員がライオンズさんを安全な場所へと誘導。罪を重ねたことで追訴となるワシントンの身柄はその後マーサー郡矯正施設に戻されたが、郡保安官事務所は「裁判所という場所で暴力を繰り広げる者を我々は決して許さない」とコメントしている。ライオンズさんの目の周辺には複数の傷が確認されており、トレントン市の「Capital Health Regional Medical Center」に救急車で運ばれて治療を受けたという。