少し前には米サンディエゴのある地ビールメーカーが、長年の干ばつとの闘いの一環として市の支援を受けながら下水を生まれ変わらせペールエールを作っていることを明らかにし、ビール党を驚かせていた。このたびの話題はデンマークのコペンハーゲンから飛びこんできた。ビールはおいしい天然水と清潔な原材料から作られる、そう思っていた方にはショッキングな話題かもしれない。
『ピスナー/ Pisner』と名付けられたそのビール。「ヒトの尿を使ったビールの評判は上々ですよ」と謳い、人々を驚かせているのはコペンハーゲンにある「Norrebro Bryghus」というブリュワリーである。しかしヒトの尿をろ過した黄色い液体がグラスの中で泡立つというものではないので、そこはご安心頂きたい。CEOのHenrik Vangさんは「原材料をすべてオーガニックにとこだわった結果、ヒトの尿を肥料として使用することを決定した」と話している。
大麦の麦芽を入手し、仕込み、発酵、熟成というおなじみのプロセス。その大麦を育てる肥料にヒトの尿を使うというもので、従来のビールは工場生産の肥料を使用し、オーガニックビールを謳うライバルメーカーでも動物性肥料を使用。ここに差をつけたいとしてNorrebro Bryghusは新たなる試みに出た。「ヒトはビールを飲んではトイレに行く。それが有機肥料となってまたビールが作られる。この時代に大きく求められている“リサイクル”の精神にも貢献できるのです」とVangさんは誇らしげだ。