障がいにより手や腕が不自由な男性たちは、ごく自然な現象である勃起をマスターベーションにより鎮めることができずに苦しんでしまう。福祉施設や医療機関で働き、男性の身障者に接してきた人々なら誰もがその悩ましい状況について「同情せずにはいられなくなる」と話す。食事や排泄の世話と同様に性的欲求の解消を介助する必要性があることを訴え、日本の若者が数年前からNGO組織として事業を立ち上げた“射精介助”。すでにスウェーデン、台湾と世界各地で真面目な取り組みがスタートしていることを英『BBC』が伝え、大きな関心を集めているもようだ。
たとえば知的障がいがある男性の場合、性的な教育がおろそかなまま思春期を過ごし、勃起や射精、性衝動、セックスの何たるやも理解できないまま成人となる場合も多いという現実。一方、知的障がいはなくとも手や腕に障がいを抱えた男性では自身の手によるマスターベーションは困難となる。こういった話題はタブー視される傾向が強く、障がい者福祉の世界における長年の悩ましい問題であったに違いない。
英『BBC』のスタッフがこのたび取材したのは、台湾のごく小さなNGO団体である『Hand Angels』。“手の天使”と呼ばれて活躍する心優しきボランティアたちの姿であった。幼児期にポリオを発症し、重度の障がいを持つに至った中年男性のところに一人の女性が出向き、真面目に、そして優しくその下半身と向き合い射精に導いてあげる。スウェーデンにおいては、女性器の形をした独特な道具を使う場合もあるようだ。