今月9日、米イリノイ州のシカゴ・オヘア国際空港にてルイビル国際空港に向かうユナイテッド航空3411の機内でアジア系の男性が警備員によって機内から引きずり降ろされるという出来事が起きた。
事の発端はユナイテッド航空による搭乗客のオーバーブッキング(過剰予約)が原因だ。同航空側の都合でルイビルへ従業員4人を向かわせるため、乗客4人を降機させねばならない状態だった。この時、ユナイテッド航空は400ドル(約4万4000円)と翌日午後3時のフライトと宿泊するホテルが用意されるという条件で乗客に降機を願い出た。
しかし誰も名乗り出る者はいなかったため、報酬を800ドル(約8万8000円)にまでしたものの協力する乗客は現れず、ユナイテッド航空はコンピュータでランダムに降機する乗客を選択した。降機を指示された4人のうち、2人はベトナム系と見られる夫婦でこれを受け入れ、後の2人も中国系と見られる夫婦で妻は受け入れたが、夫である男性デビッド・ダオさん(David Dao、69)はこれを断固拒否したのだ。
デビッドさんは自分は医師であり、明日の午前中には病院で診察をしなければならないと主張。当然、ユナイテッド航空が提示した翌日午後3時の飛行機では、間に合うはずもないため拒否したのであろう。
業を煮やした乗務員らが警備員を呼び、抵抗しながら叫び声をあげるデビッドさんを3人の警備員らが両脇を鷲掴みし、機内の通路を引きずりながら飛行機から降ろしたのだ。この時彼は口元から出血しており、異様な状況に乗客の女性が「なんてことするの!」と叫んでいる姿も見られた。『New York Times』によると、デビッドさんは「私が中国人だから選んだんだろう!」と叫んでいたという。
この時の動画はSNSによって拡散され、世界中の人達が閲覧することとなった。特に中国本土ではSNS微博(ウェイボー)などで何千人ものネチズン(ネット市民)が怒りの声をあげている。微博に投稿された「ユナイテッド航空、乗客を強制的に引きずり降ろす」と題した記事は、1億5000万回超の閲覧数に上った。
微博ユーザーからは、「見てくれ! ユナイテッド航空が中国の男性を手荒に扱った。人々が見ている中、引きずり降ろされるなんて屈辱だったに違いない」「アメリカ人はいつも人種について話しあざ笑っている。これはアメリカの傲慢な風潮だ」など怒りの声が次々と集まり、中には航空会社のボイコットを呼びかける者もいて「中国国民は最後まで抗議するべきだ」などの声があがっている。
この件に関してユナイテッド航空のオスカー・ムノツ(Oscar Munoz)CEOは2度ほど、歯切れの悪いコメントをSNS上で発していたが、最終的には全面的にユナイテッド航空側の非を認め、謝罪の言葉を述べている。
ユナイテッド航空では先月もレギンス着用の10代の少女2人を搭乗拒否した問題があったばかりで、SNS上では「またか? ユナイテッド航空」と揶揄するようなコメントが相次いでいる。
出典:http://www.bbc.com
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)