イリノイ州パークリッジ在住のベニー・マーティネズ君(12)が激しい頭痛と吐き気に襲われたのは昨年春、フロリダ州オーランドで家族と休暇を楽しんでいた時だった。救急処置室に運ばれCT検査が行われた結果、ベニー君の後頭部にはクルミほどの大きさの腫瘍が見つかった。すぐに7時間にも及ぶ手術が行われたものの、ベニー君は術後、後頭蓋窩症候群(posterior fossa syndrome)の症状が現れ、歩くことも話すことも、そして食べ物を飲み込むこともできなくなってしまった。
手術から3日後、ベニー君は自身が小児の小脳に発生する悪性脳腫瘍“髄芽腫”を発症していることを知らされた。ちょうど11日前にヘッド・シェイビング・イベントで頭を丸坊主にしたばかりだったベニー君は、“ガンの告知”が何を意味しているのか理解していた。
「最初は冗談かと思ったけど、本当だとわかった時はただ怖かったよ。」
手術から1年を迎え、ゆっくりと話をすることができるようになったベニー君は当時のことをそう振り返っているが、母親のミッシェルさん(48)は「ベニーは自分のことよりも家族の休暇が台無しになってしまったことを心配していました。いつも周りに気を遣う子で、本当に優しいんです」と語り、「今はホームスクーリングをしながら、病院でリハビリと化学療法を受けています」と治療に専念していることを明かした。
そんなベニー君が病気と闘う中で、心に決めたことがある。それは「St. Baldrick’s Foundationを通じて、“ベニー”の名のもと10万ドル(約1100万円)を集める」ということだ。同団体によると、集められた寄付の15%はベニー君の医療費に、残りは小児ガンの研究にあてられるという。ベニー君は「何かをしてもらうのではなく、“与える存在”でありたい」と言い、このように述べている。
「僕と同じ病気で苦しむ子供たちを助けるためなら、どんなことでもするつもりです。僕は病気の子に絶対諦めちゃダメって伝えたい。もちろん僕も諦めません。絶対治って歩けるようになってみせます。」
歩行器を使って歩くことができるようになったベニー君の今の目標は、趣味であるパイを焼くことと、兄のクリスチャン君(16)とビデオゲームで戦うことだそうだ。
父親のエドさんは「今まで自分でやってきたことが急にできなくなってしまったわけですから、つらいと思います。でもベニーは病気に打ち勝ってみせるという強い意志を持って、一歩一歩前に進んでいますよ」と語り、「化学療法が終わって髪の毛が生えてきたら、きっとまた丸坊主にするって言い出すんじゃないかな」と笑った。
ベニー君は「ガンの研究に役立つことなら、協力は惜しまないよ」と屈託ない。前向きなベニー君がまた学校に通うことができるようになるには、そう時間はかからないかもしれない。
強い信念を持って活動しているのはベニー君だけではない。今年1月には10歳の少年が12歳のガンの友達のために、2年間髪を伸ばして寄付をしたという。これからを背負って立つ子供たちが、人を思いやる気持ちを持って様々な活動に参加していることは嬉しい限りである。
出典:http://people.com
(TechinsightJapan編集部 A.C.)