幼い時の性的虐待被害の記憶は、その人の人生に長きにわたり暗い影を落とす。しかし米テキサス州のある女の子は違った。少女となり大人の女性となるにつれその苦悩と恐怖は怒りと復讐心に変わり、自分の手であの憎い男を捕まえて刑務所に突っ込んでやろうと決意したのであった。
テキサス州フッド郡のグランベリーで、連続幼児性的虐待事件の容疑者として少し前に逮捕されていたアーリス・ジョセフ・チェイソン(47)。ルイジアナ州で8歳女児にいたずらをして1994年まで服役していた前科があるが、再びその両手に手錠がかけられた陰には、親類にあたる27歳の女性警察官が幼い頃に味わった苦悩に満ちた経験があった。並みならぬ憎しみを抱いての逮捕劇であったことを『washingtonpost.com』が伝えている。ただしプライバシーを尊重するため、彼女の名はAさんとしか明かされていない。
当時8歳であったAさんにとって“親戚の若いオジサン”という存在であったアーリス。彼はAさんを4年間にわたり性的に虐待していた。最初は強く抱きしめるだけであったが、次第にAさんが眠る部屋に忍び込んでベッドに入ってくるように。Aさんの体を舌でなめ、股間に自身の陰部を押し付け、彼女にはペニスをこするよう命じたという。その恐ろしい行為を忘れ去ることができないAさんは数年前にカウンセリングに通うようになった。そして彼女が出した結論は「警察官を志す」ということ。自身の苦悩を克服するためにもこれ以上の犠牲者を出さないためにも、国家権力と法という最強の後ろ盾のもとでアーリスを刑務所にぶち込んでやると決意したのだ。
ついに警察官になったAさんは2014年、アーリスに電話をかけた。アーリスが「直接会いたい。俺の言い分も聞いてほしい」と主張するため、ある公園での密会が決まった。Aさんは拳銃を隠し持ち、ベンチから少し離れたところで車から監視するよう友人に依頼してから公園へ。アーリスは所々うそぶきながらAさんの質問にはこう答えたという。
「お前にも責任があるぞ。ソファに座った表情と視線が思わせぶりだったじゃないか。喧嘩両成敗ってことだ。」
「でも俺はお前の処女を奪うところまではしなかった。違うか?」
「お前も男だったらな。ペニスが生えていたら俺の気持ちを理解できるだろうよ。」
約2時間にわたったその会話はAさんのブラジャーに隠されたレコーダーに録音され、このほど法廷で再生されるとその赤裸々な内容に陪審員らは眉をひそめ、有罪の評決を下した。そして先月26日、判事は幼児に対する性的虐待、わいせつ行為を繰り返したアーリスに最低でも42年、つまり終身刑にも等しい89歳までの服役を命じた。仮釈放の権利はその後に与えられるという。
出典:https://www.washingtonpost.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)