メキシコの最高峰、オリサバ山で完全にミイラ化した遺体が発見されたことを先にお伝えしていた。特に注目されていた1体はその後に麓に搬送されて各種の調査を終えたもよう。今後は公立博物館で展示されることを英メディア『express.co.uk』が伝えている。
メキシコシティから80kmほど南東に位置するプエブラ州。そこにそびえたつ標高5,636mの「オリサバ山(Pico de Orizaba)」は世界の登山愛好家を惹きつけてやまないが、山頂近くでミイラ化した遺体が昨年3月に2体、昨年6月に1体発見されていた。
うち昨年6月に発見されたものは、雪の中に顔をうずめた状態で見つかり、身体はねじれ左足は不自然に曲がっていたという。55年前に雪崩に巻き込まれた登山家、墜落した小型飛行機から振り落とされた男性、雪山の知識が不足した登山初心者、浮浪者とさまざまな憶測が飛び交ったが、身元は今も特定できていない。
遺体の調査にあたった専門家は「身長は低めでやせ型、カシミア製のジャケットを着用。50年ほど前に負傷のため死亡したものとみられ、山頂が極めて低温であることから遺体はここ15年ほどの間にじっくりとミイラ化したと考えられる」と発表し、ミイラはオリサバ山の西側に位置するシウダー・セルダン市の博物館に展示されることが決定した。
同市のフアン・ナバロ市長は「山頂付近には1959年に雪崩に巻き込まれ抱き合うような姿勢で亡くなった2遺体を含む、ミイラ3体がいまだに残っています。天候次第で搬出が叶えば彼らも博物館に持ち込まれることと思います」と述べている。いずれの遺体も氷が解けて体の一部がむき出しになったために登山者に発見されたとして、市長は「ミイラが私たちに地球温暖化の問題を提起してくれました」とも添えた。毛髪、爪、歯が確認できるという現在の状態を維持するため、展示環境は常に安定した条件下で保たれることになるという。
出典:http://www.express.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)