クジラは学習、協力、計画、苦悩するなど知能の高い哺乳類である。何時間もかけてようやく助けられたクジラが感謝の気持ちを表したとき、救助隊はあまりにも神秘的な行動に時を忘れて感動したという。
南アフリカ・ケープ半島先端のケープ・ポイント沖で8月28日朝、ロープやブイに絡まっているザトウクジラを発見した漁船が南アフリカ鯨解放ネットワーク(SAWDN)へと報告した。
SAWDNは名前の通り、網に引っ掛かったクジラを助けるための団体だ。クジラを傷つけずに網やロープを解くことにおいて訓練を重ねているプロフェッショナルである。
そのSAWDNが現場へ駆けつけると、9メートルほどあるオスのザトウクジラがロープに絡まっていた。さらに海難救助隊も特別に駆けつけて共に救助活動を行うことになった。
クジラを助けるためには尻尾のほうからそっと近づかなければならない。クジラの体に幾重にも絡まっているロープに大きなフックがついたロープを引っ掛けて引き寄せながらうまくくくり付けるが、時間とともにクジラが動きだす。このまま船を出すと、救助隊までもが命の危険がある。そこで救助隊がクジラの前方へ行き注意をそちらに向けながら、SAWDNがクジラに絡まっているロープを切断していった。朝9時35分に始まった救助活動は午後4時前に無事終了した。
ロープから解き放たれたクジラは、そこで驚くべき行動をとった。クジラは船の側面にくると救助船に頭をゆっくりとあずけ、そのままおよそ20分も救助隊を見つめるかのようにしていたのだ。
SAWDNのメンバーと救助隊らは、その光景に心が揺さぶられる思いだったという。
出典:http://www.nsri.org.za
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)