ノルウェー南部のハダンゲルヴィッダ山。ここで26日、300頭を超す大変な数のトナカイが落雷で命を奪われてしまった。子牛の死骸も70頭ほど見つかっているという。ノルウェーといえばオーロラだが、記者にはトナカイとの触れ合いも実に楽しい思い出になっている。
323頭ものトナカイが雷に撃たれて死んでしまったのは、オスロから200km近く西に位置し、広大な国立公園を擁する台地型のハダンゲルヴィッタ山。群れをなす哺乳動物には雷雨など天候の異変があると体を寄せ合う習性があるが、ノルウェー環境庁のKjartan Knutsenさんは「その習性が災いして一瞬にして感電が広がった可能性があります。こうした動物が雷に撃たれることはしばしばですが、これほど大量の死は例がありません」と話している。
ハダンゲルヴィッダ山には約1万頭の野生のトナカイが生息しており、季節のうつろいとともに大移動をすることが知られている。トナカイには極寒の気候に耐えるぶ厚い毛皮、角、肉、そして馬のように牽引する力があり、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアに広がる遊牧民“サーミ族”の人々の暮らしを大きく支えているほか、トナカイそりは観光客の人気アクティビティとなっている。
記者もノルウェーのトロムソでそれを体験しているが、トナカイの印象はズバリ“癒し系”。ノンビリ屋でソリを引くのを嫌がるなど気まぐれでもあった。彼らを仕切るのは手の込んだ刺繍が美しいコルト(Kolt)と呼ばれる民族衣装を着たサーミ族の男性たちだが、昼食の際に彼らは「こうした衣装を縫える女性が激減し、子供たちはオスロの大学に進んで卒業後はサラリーマンになっていく。遊牧民としてのサーミ族は非常に先細りです」とこぼしていた。
余談ではあるが北極圏といえばオーロラである。「どんなに美しく撮れるスマホでもオーロラの撮影だけは困難。しかも人の目にそれはおぼろげな白い雲としか見えない」。そんな噂にアマチュアな記者が持って行ったのは“星空モード”のあるデジタル・コンパクトカメラであった。嬉しいことにそれが捉えた画像は一眼レフを持ってきて「重すぎて荷物もかさばった。操作に手間取った(オーロラは20秒も経つと様相を変えてしまう)」とこぼす人たちからも絶賛されたものである。
出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)