つつましく真面目に暮らしているムスリム(イスラム教徒)も多いだけに、「タリバン」や「アルカイダ」、そして「イスラム国(IS)」などイスラム過激派組織の暗躍がもたらした反ムスリム感情は世界各地で困った問題を起こしている。そんななかでも、平和と安全な暮らしを望んでやまないムスリム一般市民と手を組むことの大切さを強調するのがスコットランド。ムスリムとの平和な共存で安全を確保しようとしているようだ。
英メディア『metro.co.uk』が伝えているところによれば、スコットランド警察はこのほどその制服にムスリムの女性が頭髪を覆うスカーフ「ヒジャブ」を正式に登録したことを明らかにした。ロンドン警視庁では10年以上前からそれを導入しており、スコットランド警察ではこれまで“上司の許可をもらって個人のものを着用”と定められていたという。
実はスコットランド警察の2015年/2016年度の採用において、全志願者4,809名のうち異民族の応募はたった127名(2.6%)であったとのこと。その人種構成を多様にしていきたいと考えるのはもっともなことで、特にムスリムが犯罪の加害者あるいは被害者になる事例が急増している今の世の中、アラビア語に堪能な警察官を増やすことは急務であろう。2010年に組織された「スコットランド警察ムスリム協会(Scottish Police Muslim Association)」のファハド・バシル代表もこれを高く評価しており、フィル・ゴームリー本部長は「地域社会の代表者として町と市民の安全のため十分に力を発揮していただきたい」と、ムスリム女性の参画に期待を寄せている。
フランス政府がこのほど「我が国のプールやビーチではブルキニ(ムスリム女性用の全身を覆う水着)禁止」としたことで、ムスリムの間からは差別だと反発の声があがっていた。それだけに、ムスリム女性をその姿のままで歓迎したいと打ち出したスコットランド警察の姿勢には大きな反響がありそうだ。
出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)