最愛の母親の身に何らかの危機が迫っていることは幼い子にとっても一目瞭然であったのだろう。南アフリカから非常に痛ましい事件のニュースが『南アフリカ放送協会(South African Broadcast Corporation)』により伝えられた。性的暴行から母親をかばい、犯人の前に立ちはだかった幼い男児が殺害された。
事件は今月12日、ヨハネスブルクから500kmほど南西に位置する北ケープ州のジャン・ケンプドープ村の近くで起きた。テセロー・ディコレという32歳の男が未成年者殺人、強盗未遂、強姦未遂など複数の容疑で逮捕されている。ディコレは、小学校に通う8歳、6歳の息子の手を引いて学校に送り届けるセゴモツソー・ガレサペさん(42)に強盗目的で近づき、さらに性的暴行を試み、母親を守ろうと抵抗した6歳の次男を殺害した。
割れたガラスのボトルを手に「現金をよこせ」と親子に迫ったディコレ。「お金など持っていない」と返したセゴモツソーさんに激怒し、ディコレは彼女のスカートをまくりあげて性的に暴行しようとした。兄のタビソ君がディコレの持つ割れたガラス瓶に注意するよう叫んだが、弟のクトルワノ君はひるむことなく「ママは早く逃げて!」と叫びながらディコレの顔や体を叩いたり蹴ったりしたという。だがクトルワノ君の体はあっという間に地面に押し倒され、ディコレは泣き叫ぶ少年の柔らかい肌にいく度もガラス瓶を突き刺したのだ。
このほど英メディア『dailymail.co.uk』の取材に応じたセゴモツソーさんは、悪夢のようなその日の出来事をこう語っている。
「私は泣き叫びながら通りがかりの車に助けを求めましたが、すべて知らん顔で通り過ぎて行きました。あきらめて現場に戻るとクトルワノはか細い声で『ママ、ママ…』と繰り返すだけでした。胸元で強く抱きしめると息子は『ママ、僕にキスして』と言い、力なく兄の手に触れ、間もなくその腕は横に垂れてしまいました。」
「それがクトルワノの最期でした。やっとのことで集まった少しの人の手を借りながら息子の遺体は線路脇まで運ばれました。あの男に攻撃するため私も何か武器になるようなものを探しましたが、とうとう何も見つけられなくて…。」
そう言って大粒の涙をこぼすセゴモツソーさん。自分の身代わりとなって命を奪われた愛する息子の死の悲しみから立ち直れる日など来るわけはないという。実に許しがたい痛ましい事件である。
出典:http://nypost.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)