「相手は銃を持っている。銃を制するには銃しかない」 アメリカの警察官の心の中で、これは容疑者あるいは犯罪者に対峙する際の大前提なのであろう。その警察官らも銃を手に“容疑者とみられる男”に近づいた。しかし…。
「警察官たちがいきなり近づいてきて、銃を僕に突き付けて『手を上げなさい』と言ったんだ。撃たれるのかと思って本当に怖かった。」
今月14日に経験した恐ろしい出来事を語り、大粒の涙を流しながら父親の腕に顔をうずめたのは米ニュージャージー州ニューアーク在住のレジェンド・プレストンくん(10)である。その様子を母パティーシャさんが撮影し、怒りのメッセージを添えてFacebookに投稿したところ『nydailynews.com』などがこれを紹介。「いとも簡単に銃を向ける警察官」という今のアメリカの問題にまた新たな一石を投じてしまった。
あわや誤認逮捕というそのハプニングは、レジェンド君が友人と自宅近くのバスケットボール・コートで遊んでいる中で発生した。ニューアーク署の警察官に詰め寄られたレジェンド君は恐ろしさのあまり逃げ出したが、自宅の裏で捕まっている。そこに友人や近隣住民が駆け付けて「まだ10歳の子供に対して何をしているんですか!」と立ちはだかってくれたが、警察官は「武装強盗を働いたケーシー・ジョセフ・ロビンソンという20歳の容疑者を追っている。その特徴がそっくりだ」と説明するのみであったという。
その後、ほどなくして逮捕されたロビンソン容疑者(写真・円内)。褐色の肌色は同じであるものの彼が長髪で身長6フィート(約183cm)以上もあることに、パティーシャさんは「どこが私の息子と似ているというのですか。彼らは追っているという容疑者の写真を持っていました。その容疑者なら隣のブロックに逃げ込んでいきましたよ」と怒りをあらわにしている。
なおレジェンド君の涙の訴えや両親の怒りに対し、警察はほとんど無関心であるもよう。パティーシャさんが直談判した際、彼らは「銃をレジェンド君に“突き付けた”覚えはないし、その事情聴取では誰一人怪我をしていません。そんなに言うのなら正式に被害届でも出してみては」と冷たい態度を見せたという。彼らにとって、銃を握りしめることと銃口を向けることには大きな隔たりがあるようだが、一般市民にとっては銃を握りしめた警察官に追いかけられることほど怖いものはない。
出典:http://nvs24.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)