「警察官が取り調べと称して妻を強姦した」と訴えたロシアのある男性。警察という最強の国家権力を前に、愛する妻のためにも何とかして正義を晴らしたいと考えた夫は、文字通り体を張って抗議した。しかし…。
今年1月、アパートの隣人に「泥酔して大暴れしている」と通報され、逮捕されていたロシア・チェリャビンスク州マグニトゴルスクの道路清掃作業員、イゴール・グバノフさん(40)と妻のサリマ・ムハメディヤノワさん。夫妻は今、その時に取り調べを行った警察官2名からサリマさんが性的な行為を含む暴行を受けたとして裁判を起こしている。
その泥酔騒乱の事件は軽犯罪として扱われ釈放となった夫婦だが、数時間後に担当した警察官2名が自宅へ現れ、夫妻は再びマグニトゴルスク署へ向かった。そこでサリマさんがある部屋に連れ込まれ、1人から殴られ、1人から性的暴行を受けたという。警察官からは「薬物を盛るからな」と脅されながら口止めされた夫妻であったが、すぐにその町を出るとサリマさんは医療機関へ。身体検査を経て暴力およびイゴールさん以外の男性による性的行為があったことを証明する文書を得て正式に裁判を起こした。『Public Verdict Foundation』というNGO組織も夫妻を支援している一方で、警察はすでに4つの科学的鑑定を行い、問題のDNAはイゴールさんのものだったと主張。問題の警察官らのDNAサンプルの採取を拒否し続けている。
地元メディアもこの件について取り上げるようになり、俄然注目を浴びるようになったイゴールさん。裁判所に警察が提出した書類はその証拠が改ざんされ、夫妻をひどく侮辱するものであったことに大変な怒りを覚えたと主張する彼は、このほど糸ノコギリで左手の小指を自ら切り落とす痛ましい姿をインターネットニュースの『Znak』に晒した。「ハンガーストライキなど今時誰も注目しません。これが私なりの精一杯の抗議方法です。監視カメラだってあるのに警察はさっぱり真実を示す証拠を提出しない。彼らが黙っている限り、精神科病院に強制入院になることを覚悟の上で私は毎週月曜日に指を1本ずつ切断します」としていた。
こうして2本の指を失ってしまったイゴールさん。ただしFacebookへの最新の投稿では、「そのような愚行で人々の注目を集めることはもうしません。サリマはひどい神経衰弱に陥っており、『こんな苦痛を強いられるとわかっていたら告訴なんてしない方がマシだった』と後悔すら語るようになっています。今はただ彼女のために正義の訴えを続け、裁判で勝つことだけに専念したいです」としている。ただし、泥酔して暴れてはいく度も警察の世話になったことがあるイゴールさんだけに、どれほどの勝ち目があるのか怪しむ声もあるようだ。
出典:https://www.thesun.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)