ちょっとした不注意が悔やまれてならない水難事故の話題が多いこの時期。米メリーランド州から飛びこんできたのはボートから転落して死亡した少年の話題であった。その体を吸い寄せたスクリューは、なおも容赦なく回転を続けたという。
米メディア『patch.com』などが伝えたところによれば、その痛ましい事故が起きたのは夏の休暇を過ごす人々でにぎわうメリーランド州のオーシャンシティという海辺の町で17日午後3時近くのこと。ニュージャージー州のハウエルから家族やその友人らとここを訪れていたケイデン・フレデリック君(9)が無念にも命を落としたという。
ケイデン君を含む17人を乗せ、オーシャンシティ南端とアサチーグ島に挟まれたシネパックセント湾に繰り出した遊覧用の“ポンツーン・ボート”。事故の調査にあたったメリーランド州自然資源局(Maryland Department of Natural Resources Police)のキャンディ・トムソンさんによれば、ケイデン君はその船首に座って足を水に浸していた中でバランスを失い海に転落したもよう。家族がケイデン君をボートに引き上げる間もなく、その体は一瞬にしてボートのスクリューエンジン部分に吸い寄せられ、いく度も羽に打たれたという。
たまたま通りかかった観光船に乗っていた看護師、救助隊、および他州の警察官、そして搬送先であるウェスト・オーシャンシティの「アトランティック総合医療センター」の医療スタッフが懸命に救命措置を行うも、ケイデン君が息を吹き返すことはついになかった。ボートをレンタルしていたのは「Under the Bridge Water Sports」社。ケイデン君がライフジャケットを着けていなかったこともわかり、ボートを貸し出す際にその着用義務やボートから身を乗り出すなどの危険な行為を禁じるといった各種の説明がきちんとなされていたのか、同社に対しても厳しい調査が行われているもようだ。
カヌー、カヤックから高速ボートまであらゆるボートに遭遇するというシネパックセント湾。同州では毎年ボートによる水難事故が多発しているが、今シーズンもケイデン君を含めすでに11人の死者が出ているとのこと。トムソンさんはポンツーン・ボートを「浮かんでいるバスタブのようなもの」とたとえ、たまにしかボートに乗ることのない観光客らに対し、それがとても揺れる乗り物でバランスを崩せば非常に危険であることを軽視しないよう警鐘を鳴らした。
出典:http://www.propellersafety.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)