米テキサス州コールドウェル郡のマックスウェルで起きた、遊覧用熱気球の墜落事故。パイロットを含む16名全員の死亡が確認されているが、そのパイロットには人々の尊い命を預かる資格があったのかと言わざるを得ない、なんとも黒い過去があることがわかった。
テキサス州で先月30日朝に起きた「Heart of Texas Hot Air Balloon Rides」社の熱気球が墜落した事故については、目撃証言をもとに「熱気球が送電線に触れて炎上したことが原因」と報じられている。一方で、その熱気球のパイロットを務めたアルフレッド・“スキップ”・ニコルズさんの黒い過去にも注目が集まっているもようだ。
非常に人柄が良く、誰からも愛されていたというニコルズさん。彼とかつて交際していたウェンンディ・バーチさんは、『AP通信』とのインタビューで「人助けが好きで親切。本当に素晴らしい人を亡くし誰もが嘆き悲しんでいます」とその死を悼んだ。しかし彼女はその中で「彼はここ4年ほどお酒を断っていると思う」と述べ、ニコルズさんに各種依存症と闘っていた過去があることを明らかにしたのである。
ニコルズさんはかつてミズーリ州に暮らしていた。その裁判所に残された記録によれば、1999年には大麻不法所持の重罪にて検挙され、2007年にはいく度も繰り返された飲酒運転により運転免許証をはく奪され、服役していたことも確認されている。それでも15歳から熱気球を体験していた彼は、40時間以上の飛行講習を経てライセンスを取得。「Heart of Texas Hot Air Balloon Rides」の前にも各地を転々としながら熱気球および宣伝用気球の会社を4つほど運営したという。
しかし2009年7月、ミズーリ州セントルイス郊外で運営していた「Air Balloon Sports LLC」において、自らが操縦に携わった熱気球に不具合が生じ、着陸時に負傷した女性客から訴えられたことがあった。風に従って上昇、下降を繰り返しながら森の中にカゴを降ろしたニコルズさんは「なんとか着陸に成功」したものの、恐怖の送電線も間近でバルーンが雑木林に引っかかっているその状態は客の目には「墜落にも等しい」と映ったという。
女性客の弁護士はその裁判で、ニコルズさんが非常時にあっても燃料の節約を優先させていたこと、その熱気球ツアー客の保険加入がなされていなかったことを理由に強く責めたが、当時のニコルズさんには十分な資産がないこともわかったという。ダイナミックな景勝地を臨める世界の観光地で人気の熱気球ツアー。記者は一度だけトルコのカッパドキアで乗った経験があるが、そこでわかったのは現地には「スペシャルプライス」と称して非常に古いカゴとバルーンで運営している会社が存在すること。ツアー会社を介さずに申し込もうとする場合は、HPでその会社の歴史、最近の写真、パイロットの経歴などを比較してみることが大切であるようだ。
出典:http://kxan.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)