機内で乗客が乗務員に悪態をつくという事件は度々耳にするが、酔っ払った上での行為はさらにたちが悪い。酔いから冷めれば全く覚えていないことが往々にしてあるからだ。このほど1人の泥酔した男がイギリスのブリストル空港から搭乗し、パイロットやCA、そして乗客全員を殺すと脅したために、飛行機が空港に引き返すという甚だ迷惑な事件が起こった。
英・格安航空会社「イージージェット」の機内座席にいたマーティン・ジョンソン(56)は、搭乗する前から免税店でアルコール飲料を購入しすでに酩酊状態にあった。さらにジョンソンは、機内に持ち込んだボトル1本を飲み始めた。
彼は泥酔した状態でトイレに入り、尿をまき散らして他の乗客が使えないほどトイレ内を汚した。それを客室乗務員(CA)が気付き、パイロットに報告。パイロットはブリストル空港へと飛行機をUターンさせたのだ。
“自分の素行の悪さで、飛行機が引き返すとなるときっと逮捕される” そう思ったジョンソンは、CAに「もし引き返すようなことをすれば、パイロットを殺す」と脅迫。さらに「お前たちも乗客も全員殺すぞ」と言い放った。
結果、飛行機は出発地と同じブリストル空港に引き返し、ジョンソンは逮捕された。その裁判で乗客の1人は「彼はボトルごと飲酒していて怖かった」と証言し、どれほど彼が泥酔した状態であったかを伝えた。ジョンソンは「自分はトイレに7分籠っていた。その後、機内のアナウンスで飛行機を引き返すと言ったのを聞いた。自分のことかと思い、どうせ逮捕されるならと悪態をついた。だが、大声で叫んだりはしていない。殺すなどという言葉も発していない」と主張。「泥酔していたために、自分が何をしたのか全く覚えていないとは」と証言者を呆れさせた。最後にジョンソンは「泥酔状態だったことは申し訳ない。どうか刑務所に行かせないでほしい」と法廷で謝罪し懇願した。
乗客153人を乗せた飛行機は、目的地のスペイン・マラガには向かわずブリストル空港へと引き返したために、多くの乗客が迷惑を被り航空会社にも多額の損害が生じている。法廷で裁判官は「大勢の乗客の計画を狂わせたばかりか、暴力的な言動でCAや乗客たちを恐怖に陥れた罪は重い。身体的な暴力はなくても、言葉の暴力は十分に服役に値する」とジョンソンに8か月の服役を命じた。
今回の事件をもって、ジョンソンの「イージージェット」搭乗は今後一切禁止されたという。
出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)