海外発!Breaking News

writer : tinsight-suzukoellis

【海外発!Breaking News】911コールでゴミ出しを頼んだ高齢者に女性スタッフが快く対応(米)

日本では3.4秒に1回、国民の約13.6人に1人の割合で緊急コールがあるという。最近では固定電話よりも携帯電話などを使う人が多く、通報3件のうち2件がそうした機器からだそうだ。携帯電話からの通報はロック時でなくてもできるために誤発信する可能性も高く、通報件数も年々増加しているといった状況だ。

緊急コール増加の問題は、日本だけではなくアメリカでも同様とされている。1件の誤発信があると、日々多忙な緊急コールセンターではそれが誤発信かどうかをまず確認しなければならない。それに割かれる時間は、1回の電話につき1分以上と言われている。さらにイタズラ電話も多く、重大な緊急の電話が繋がらないといったケースも少なくない。

米国の調査では、緊急コールセンターへの通報は年間8,400万件にものぼるそうだ。コネチカット州ハートフォードのコールセンターもその多忙さは例外ではなく、年に16万件の通報があるという。

そこで働くキャサリン・グレイディーさんはある日、1人の女性からの通報を受けた。86歳になるというその女性はフランシス・ロイヤーと名乗り、キャサリンさんに「誰かゴミ出しをしに来てくれる人が欲しい」と伝えた。

のちにキャサリンさんが米メディア『Fox61』に語ったところによると、フランシスさんは体が不自由なために1人でゴミ出しができず、いつもは近隣住民が手伝っていた。しかし今回は2週間ほどゴミが出されていないようで気になる。もし誰かが来て道路脇にゴミ箱を出してくれたら助かるという内容の電話だったそうだ。

そこでキャサリンさんは「それなら、私が明日行きます」とフランシスさんの家に出向くことを提案。「あなたが? 本当にいいの? とっても助かるわ」と感激したフランシスさんの声は「緊急コール」としてコールセンターにそのまま録音されている。

果たしてそれが“緊急”なのか。おそらくほとんどの人は首を横に振るだろう。ところがキャサリンさんは「911に電話をしてくるということは、事が大きくても小さくても、その人にとっては緊急の問題なんです」「時には私たちで解決できないような依頼をしてくる人もいます。でもフランシスさんの緊急コールは、私が個人的に対応すれば何の問題もないことなので翌日、ゴミ出しに行きました」と語る。

日本でも救急車をタクシー代わりに使おうと、119番通報をする高齢者も多いと聞く。そしてアメリカでも数か月前に「ひとりで服が着られない」と2歳の女児が911に通報し、女性の保安官代理が駆けつけたことが話題になった。

その一方で、一刻も早い救急車の到着を待っているにもかかわらず、オペレーターの判断で後回しにされ命を落としてしまう悲劇も起こっている。“緊急”の判断はキャサリンさんのようなオペレーターの手にかかっているといってもよい。だからこそ、一件一件の通報にきちんと対応しなければならないのではないだろうか。

誤発信やイタズラ電話が増加し、オペレーターの時間を大きく取られることによって忙しさが増すのは決して喜ばしいことではないが、少なくともキャサリンさんのように真摯に対応できるオペレーターが今も緊急コールセンターで待機していると信じたい。

出典:http://fox61.com
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)