この世には偶然が呼び起こす「奇跡」というものが確かに存在するようだ。このほど、米サウスダコタ州のプラットにある介護施設で、63年間連れ添った夫婦が20分差で息を引き取ったことが『abc News』で報じられた。そしてその後に、更なる不思議な現象が起こったことも話題になっている。
朝鮮戦争を経験した兵士だったヘンリーさん(85歳)と、音楽家だったジャネットさん(87歳)は1953年に結婚し、5人の子供に恵まれた。63年という長い年月の苦楽を共に生きた2人だったが、ジャネットさんは8年間アルツハイマー病を患っていたため介護施設で暮らし、ヘンリーさんは前立腺がんの治療のために、地元の在郷軍人局病院に入院していた。
2人の息子リーさんが、ジャネットさんの入所している施設から電話を受けたのは7月31日のことだった。そのときちょうど夫ヘンリーさんは入院中の病院から妻ジャネットさんに会うために介護施設を訪れていた。
「2人が危篤状態にある。すぐに来てほしい。」
そう施設の職員から告げられ、駆けつけたリーさんや親族が見守る中で5時ちょうどにジャネットさんは息を引き取った。リーさんによるととても安らかな旅立ちだったという。
その後、リーさんは父のヘンリーさんに語りかけた。
「もう(病と)闘う必要はない。逝きたいなら逝ってもいいんだよ。」
するとヘンリーさんは既に息を引き取ったジャネットさんを見て、最期を迎えたそうだ。その時刻は5時20分。わずか20分差で、63年間連れ添った夫婦は最期まで一緒に天国へと旅立った。
「そうしたら不思議なことが起こったのです。父が死んだ時間で部屋の時計が止まったんです。」
リーさんは、ヘンリーさんが亡くなった時間を確認した。確かに5時20分だったという。しばらく時間が経ったのち、自分の時計を見ると5時55分だった。ところがやはり部屋の時計の針は5時20分で止まったままだったそうだ。
「時計のバッテリーが切れたんだと思いますが、不思議な偶然だと思いました。」
リーさんによると、ヘンリーさんは毎日3回、最低でも1回は病院からジャネットさんの施設を訪ねていたという。「最期までとても仲がいい夫婦でした」と『abc News』のインタビューの中でも語った。
最期に同じ部屋で20分差で旅立つという偶然の奇跡、そしてその時刻に時計の針が止まるという不思議な現象。人の生死には科学では解明できない何かがきっとあるのだろう。時を同じくして仲良く旅立った両親に、息子リーさんも夫婦の深い絆を感じたに違いない。
出典:http://abcnews.go.com
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)