アメリカの空港で乗客らの手荷物や着衣をチェックする係官。その不愛想で厳しい態度も「乗客の安全を守るため」という市民からの信頼あってこそ。そんな信頼を裏切るような出来事が起こってしまった。米ワシントン州の空港である係官がとんだ事件を起こし、警察に逮捕された。
シアトル・タコマ空港で先月29日、女性の下半身に対する盗撮事件が発生した。逮捕されたのはこともあろうに米運輸保安局(TSA)のニコラス・ジェームズ・フェルナンデスという29歳の係官であった。フェルナンデスは、この空港のセキュリティチェックポイントで連日のように検査の任務に当たっていたという。
盗撮現場となったのは空港内の上りエスカレーター。先に乗った女性の後をつけ、フェルナンデスが携帯電話で女性のスカートの中を撮影する様子を近くにいたジョン・カムズさんという男性が発見。ジョンさんがTwitterにその時の様子をつぶやいて話題が拡散した。
当局がこれを捜査するとは期待していなかったカムズさんであったが、『LawNewz.com』が伝えているところによれば、TSAは事態を重く見ていたもよう。フェルナンデスの携帯電話の画像データを確認すると、起訴事実が固まるまでポートオブシアトル署と共同で捜査を続けた。捜査が進むにつれ、被害に遭った女性が1名ではないことも発覚し「職員の不道徳な行為は断固容認しない」とするTSAはフェルナンデスの処分を給与未払いのまま無期限停職処分としている。
その後フェルナンデスは、すぐ南のケント市にある「Maleng Regional Justice Center」の拘置所に身柄を送られた。設定された保釈保証金は7,500ドル(およそ80万円)である。同様の盗撮行為があった場合、再犯をのぞいて日本では「迷惑防止条例違反」として6か月以下の懲役あるいは50万円以下の罰金刑を言い渡されることになる。しかしアメリカのそれはもっと厳しく、フェルナンデスの有罪が確定した場合は最高で懲役5年の実刑判決を言い渡される可能性が高いという。
最近ではテネシー州メンフィス国際空港のセキュリティチェックポイントで、若い女性がTSA職員により殴られ、顔中血だらけになるという暴行事件が起きた。大きな医療施設で脳腫瘍の治療を終え、地元に戻るところであったその女性。視力、聴力が片方しか機能せず、質疑への応答が不十分である様子に係官は「態度が悪い」と判断したという。市民からの苦情を警戒したTSA側は「身体に特別な事情がある搭乗者は自らそれを説明すべき。事前に電話で相談するのも手です」などと述べ、人々から「脳に病気がある者にはそれすら難しいということがわからないのか」とさらにヒンシュクを買っていた。
出典:http://lawnewz.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)