各地で黒人の命の尊厳を掲げる“Black Lives Matter”という抗議活動が活発化しているここ1週間の米国。発端はミネソタ州で起きた警察官による黒人射殺事件だ。警察官への嫌悪をあらわにする市民が急増する中、ペンシルベニア州から少しばかり気持ちがなごむニュースが入ってきた。
すべての警察官が理不尽に市民へ銃口を向けているわけではない。市民の安全と街の平和のため、日々体を張って任務に励んでいるのだ。ペンシルベニア州ホームステッドにある「Eat’n Park」というレストランで今月8日夜、そんなことをあらためて感じさせてくれる出来事があったと『nypost.com』が報じた。
「Eat’n Park」に入店したあるカップルが案内されたのは4人の警察官が食事をしている隣の席であった。彼らは「あの人(警察官)たちの隣はイヤ」と拒否して別のセクションに通された。そのやりとりに気づいた警察官たちは、カップルが食事をしている間に支払いを済ませ、店をあとにした。やがてカップルも食事を終え、会計を行おうとしたが、その際ウェイトレスから驚きの説明を受けた。
「あなた方の食事代は、先ほどの警察官たちが10ドルのチップを添えて支払ってくれました。」
ウェイトレスがカップルに見せた明細票には、“感謝の気持ちを込め、あなた方の食事代は私たちが負担しました。いつも警察に対する協力や支援をありがとうございます”と書かれていたのだ。その警察官のうちの1人、ジョン・カショーワー巡査部長は『CBS News』の取材に対し「このところ警察官というだけで拒絶反応を示されてしまうのですが、それはとても辛いことです。市民がそうであるように、警察官も悪い人間ばかりではない。誰にでも親切でありたいと思っているのです」と応えている。
米ミネソタ州セントポールでは今月7日、学校の給食調理場に勤務する32歳の黒人男性が、テールランプが故障している車を運転していて警察に呼び止められ、免許証などを提示しようと手を動かしたところ警察官に射殺された。その様子を同乗していたガールフレンドが撮影、動画を公開したことから警察は言い逃れもできず、米市民から大きな批判を浴びた。ルイジアナ州のバトンリュージュでも同様の事件が発生し、テキサス州ダラスではついに黒人の感情が爆発。黒人の命の尊厳を掲げる“Black Lives Matter”のデモ警備にあたった警察官が銃撃される事態に発展していた。
出典:http://www.officer.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)