8月に迫るリオデジャネイロオリンピック開会式に向けてブラジル国内では聖火リレーが行われているが、そのセレモニーに参加したジャガーが射殺された。『reuters.com』など複数のメディアが報じている。
ブラジル陸軍の発表によると、ブラジル北部マナウスで20日、メスのジャガー“ジュマ(Juma)”が軍の訓練センター内で行われた聖火リレーのセレモニーに参加した直後、ハンドラーの元から脱走した。ジュマには鎮静剤入りダート銃4発が放たれたが、近くにいた兵士に襲い掛かろうとしたため射殺されたという。
地元のリオデジャネイロオリンピック組織委員会は、「平和と団結のシンボルでもあるオリンピックの聖火と、鎖につながれた野生動物を一緒にするべきではなかった。これは我々の信念と価値観に反するもので、大きな罪を犯してしまった」と声明を発表。このようなことが2度と起こらないことを約束すると述べた。
動物保護団体は、米フロリダのディズニー・ワールドでのアリゲーター捕獲問題などを例にあげて人間の野生動物への接し方に不満を示すとともに、オリンピックのイベントに動物を登場させたことに反発している。その中でも「PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)」のブリタニー・ピート(Brittany Peet)さんは「人間は学習しないのか。野生動物を捕らえ、恐ろしいことや苦痛なこと、自然でないことを無理やりさせるなんて、爆発するのを待っている時限爆弾のようなものだ」と強く批判した。
アマゾナス州環境保護局「IPAAM」は、聖火リレーのセレモニーにジュマを参加させるための正式な手続きが踏まれていないことを問題視しており、事件の経緯について調査を開始した。
国際自然保護連合(IUCN)によると、ジャガーは準絶滅危惧種に指定されておりウルグアイやエルサルバドルではすでに絶滅したと言われている。射殺されたジュマは動物園で6頭のきょうだいたちと一緒に育てられてきた。
なお黄色のジャガー「Ginga」は、ブラジルオリンピックチームのマスコットにもなっている。
出典:http://www.bbc.com
(TechinsightJapan編集部 A.C.)