今月7日、米オレゴン州ポートランド出身の23歳男性がイエローストーン国立公園の立ち入り禁止区域で誤って足を滑らせて死亡した。『sandiegouniontribune.com』などが伝えている。
1872年に世界初の国立公園に指定された米イエローストーン地区は北アメリカ大陸最大の火山地帯である。現在も地下には大量のマグマが溜まっており、噴気が活発化するなど危険な場所が多数存在するため立ち入り禁止区域が設けられている。野生動物だけでなく、温泉、間欠泉、泥壺、噴気孔などの自然現象が魅力のこの場所は、昨年には410万人が訪れるという記録的な数字を叩き出した。今年はさらに昨年の記録を15%も上回る数の観光客が訪れているという。
このイエローストーン地区を大学の卒業旅行で訪れていたのは、コーリン・ナサニエル・スコット(Colin Nathaniel Scott)さん。今月7日、設置されていた遊歩道から200メートルほど離れ、イエローストーンの中で最も温泉活動がさかんな地域とされる“ノリス間欠泉一帯”の沼地に姉と一緒に立ち入り、足を滑らせて転落した。一帯の温泉は酸性で非常に高温であるためコーリンさんの捜索は困難を極め、公園警備員は事故の翌日8日にコーリンさんの遺体の回収をあきらめ捜索を打ち切っている。これまでにコーリンさんが履いていたビーチサンダルなど数点が回収された。
イエローストーン国立公園では1890年以来、少なくとも22人が温泉で火傷するなどして命を落としている。最近では2000年に、夜間に遊歩道を離れて公園内を散歩していた20歳の女性が沸騰する温泉に落ちて死亡するという事故が起きていた。イエローストーンの歴史に詳しい専門家リー・ホイットルセー氏は「ここはリゾート地でもなければ動物園でもありません。農場や牧場とも違うのです。公園内では死の危険と常に隣りあわせであることを忘れないでもらいたい」と警告している。
出典:http://www.sandiegouniontribune.com
(TechinsightJapan編集部 A.C.)