ベトナムで20代の男がトラの赤ちゃんを不法に入手したうえ冷凍し、Facebookで販売したとして逮捕された。『express.co.uk』ら複数のメディアが報じている。
ベトナム・ナムディン省の警察によると、逮捕されたのはファム・ヴァン・トゥ(Pham Van Tu)という26歳の男。ファムはベトナムとラオスの国境付近のマーケットで、4頭のトラの赤ちゃんを200万ベトナムドン(約9800円)で購入。その後、Facebookを通して買い手を見つけていた。
トラの赤ちゃんは繭のような形に冷凍され、一見トラとはわからない。ファムは買い値の約4倍にあたる800万ベトナムドンで売りに出していたが、警察は冷凍したトラが買い手に渡る前にファムの逮捕にこぎつけた。ベトナムではSNSを介して野生動物の違法な取引を行う者があとを絶たず、警察はファムが密売組織のメンバーのひとりなのではないかとみて調べを進めている。
「世界自然保護基金(WWF)」は先月、野生のトラの個体数が100年ぶりに増加したと発表したが、東南アジアでは密猟や森林伐採によりその個体数は危機的な状態にあるとして早急な対策の必要性を訴えていた。ベトナムに関して言えば、2000年初めに100頭以上が確認されていたトラの個体数は、先月には5頭以下にまで激減している。
ライオンの保護を専門とする慈善活動「ライオンエイド(LionAid)」のピーター・キャット(Pieter Kat)博士は「“CITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約”の記録によると、ベトナムには2009年から2014年の間に南アフリカやチェコ共和国などから32頭の生きたトラが持ち込まれています。これはトラの繁殖・保護を目的としたものですが、その裏では違法な商業目的でのトラの繁殖が盛んに行われており、トラの部位の需要は年々増加しているようです」と語っている。
ピーター博士によると、トラの毛皮や骨、つめなどは高く売れるため、トラを飼育し最終的には殺して、その部位を売却するビジネスが横行しているという。売られた部位は薬や酒、毛皮となってさらに高い値段で取引されていく。現在確認されているトラの個体数は中国で7頭、ラオスで2頭、カンボジアにいたっては全滅という後がない状態だ。
出典:http://www.express.co.uk
(TechinsightJapan編集部 A.C.)