「ジカ熱」、「リオ五輪まであと100日」、「反政府300万人の大規模デモ」などと話題に事欠かないブラジル。だがここは今、世界のトレジャーハンターがちょっと注目している国でもある。ユダヤ人大虐殺で知られるナチスドイツの恐るべき独裁者、アドルフ・ヒトラーに浮上した“ブラジルに逃亡して95歳まで生きた”という説が、ある時から俄然信憑性を帯びてきたためだ。
そもそもなぜ「ヒトラーはブラジルで生涯を終えた」などという説が浮上したのか。英メディア『dailymail.co.uk』ほかがかつて伝えた内容によれば、それは仏皇帝のナポレオンがポルトガルを占領したことがきっかけであったもよう。ポルトガル領から独立を図ったブラジルは第二次世界大戦時には反仏の立場を示し、同じく反仏であったナチスドイツと良好な関係となった。そのためナチスドイツの残党の中にはこっそりとブラジルに移り住んだ者も多かったとしている。
その一人がアドルフ・ヒトラーだと主張するのは、『ヒトラー・イン・ブラジル その生と死(原題:Hitler in Brazil -His Life and His Death)』の著書を持つユダヤ系ブラジル人のシモーニ・レネ・ヘレイロ・ディアスさん。ヒトラーが1945年4月にピストル自殺したというのは嘘で、アドルフ・ライプツィヒという名を使ってアルゼンチン~パラグアイ経由でブラジルに入り、マットグロッソ州のノッサ・セニョーラ・ド・リブラメントという町に暮らしながら1984年に95歳で死亡したと記している。
ヒトラーが自殺したといわれているベルリンの地下室から出て来た頭蓋骨について2009年に遺伝子の解析が行われたところ、女性の骨であることが判明したことも後押ししているもようだ。そんな中で2014年に出現したのが、1982年に撮影されたこの写真(出典:http://www.express.co.uk)。クティンガさんという褐色の肌の女性と仲良さそうにポーズをとるドイツ人の高齢男性について、「ヒトラーと酷似。遺伝子検査も予定されている」と報じられた。
もっともヒトラーに関しては、最近も英メディア『metro.co.uk』が昨年出版の歴史小説『Hitler’s Last Day -Minute by Minute-』に記された内容だとして、“ヒトラーはマイクロペニス。男として非常にデリケートな部分に悩みを抱えていた”と伝えて話題になっていた。またヒトラーには停留睾丸(睾丸が陰嚢の中に下りて来ない)が確認され、50代になるとパーキンソン病にも苦しめられていたとする説もあるようだ。こうなるとヒトラーが90代になっても若い女性と暮らせるほど“お達者”であったかは、かなり疑わしいところだ。
しかし2011年出版の『Grey Wolf: The Escape of Adolf Hitler』でも、ヒトラーはアルゼンチン・パタゴニアに逃亡して1962年に73歳で死亡したと記されている。トレジャーハンターをしながら晩年を過ごしたとも書かれているのは、その人物が南米に逃亡したナチスドイツの残党や遺品の情報を把握していたからであろうか。
そして今、“クティンガさんという女性と交際していたドイツ人高齢男性”の正体を最も知りたくてたまらないのは世界のトレジャーハンターたち。なにしろ2013年秋には、ミュンヘンの一般家庭からナチスドイツが第二次世界大戦時に各国で略奪していたとみられるピカソ、マティス、シャガール、クレーなどの芸術作品が1500点も発見され、10億ユーロの価値があると大変な話題になっていたのだ。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)