カンボジアの有名観光地では、鮮やかな装飾をまとった象に乗って寺院を周遊する“象乗り”が人気だ。しかし今月下旬、猛暑のシェムリアップである象に異変が起こった。『abcnews.go.com』など複数のメディアが報じている。

アンコール・ワット、アンコール・トムなどアンコール遺跡群の観光拠点となっているカンボジア・シェムリアップ。ここを訪れる観光客の間で、象の背中に乗せられた豪華な椅子に座って遺跡を渡り歩く“象乗り”は人気が高い。

しかし今月下旬、“象乗り”の仕事でベテラン格にあった50歳のメスの象“サンボ”が過労のため息を引き取った。サンボは「アンコール・エレファント・カンパニー」で15年間働き続けてきたが、気温が40度となる過酷な環境で呼吸困難に陥り、心臓発作を起こしたものとみられている。仕事を始めてから45分後、背中に観光客を乗せたまま崩れ落ちたという。

シェムリアップでアンコール遺跡の保護管理にあたる団体「APSARA Authority」は現在、詳しい死因や象の労働環境について調査を行っている。またこの事故を受けて、同団体のSNSでは「観光客にとっては一生で一回のチャンスかもしれないが、象にとってはその一生が過酷な作業の繰り返し。これは動物虐待の何ものでもない」と象を使った観光業を即刻やめさせるよう求めた嘆願書が作成され、これまでに5万6千以上の署名が集まっている。

カンボジアでは3月から5月にかけて猛暑が続き、象が死亡する事故はこれが初めてではないという。世界動物保護協会「World Animal Protection」は、世界の114の企業が観光業で象の使用禁止に合意しているとし、「動物を人間の娯楽のために使用することを真剣に再考する時期にきている」と述べている。

出典：https://www.change.org
（TechinsightJapan編集部　A.C.）