今月中旬、モスルで性奴隷を拒否した女性250人を殺害したと伝えられたばかりのIS(イスラム国)だが、ここにきてIS戦闘員の士気の低下をうかがわせる実態が明らかになった。『mirror.co.uk』が報じている。
ここ数か月、ISは支配するシリア・イラクで相次いで敗北。国際軍事情報企業IHSジェーンズは、過去1年間でISは月間収入が30%減少、支配地域にいたっては過去15か月で22%縮小、支配地域の長期的な維持が困難になっていると報告した。
米軍シンクタンク・テロ対策センター「Center for Combating Terrorism(CTC)」は、IS戦闘員の戦意は喪失しており、昨年末から戦闘員が圧倒的に不足していると指摘。シリア北東部デリゾールで発行された調書によると、多くのIS戦闘員が最前線での戦闘を逃れるために、医師に虚偽の診断書作成を要請していることを明らかにした。
IS弱体化の背景には、ISがシリアとトルコ国境沿いにあるアクセス地点を一部失ったことや、石油関連施設を標的とした米国やロシアの空爆により財政的に打撃を受けていることがあげられる。
しかしCTCは、“最大の原因は、戦闘員の報酬が減り待遇が悪化したことで、戦闘員がISに幻滅を感じ始めていることだ”と分析。IS財務省の文書によると、戦闘員の現在の報酬は1か月約1万6千円。財政は逼迫しており“ISは特別な状況下に置かれている”と報告している。
昨年12月に中西部アンバル州の州都ラマディを失った頃から形勢は一段と不利になったIS。資金難から新たな税金を導入したり、罰金徴収を行うなど住民へのしめつけを厳しくしているとはいうものの、IS組織の要である戦闘員の士気の低下が組織弱体化の一因となっているようだ。
出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 A.C.)