フィリピンでは少年が大人になる通過儀礼として10歳前後の時期に割礼が行われる。今月、マニラ東部のある小学校で300人以上もの男児が一斉に割礼を受けたことを『dailymail.co.uk』ら複数のメディアが伝えている。
男子の性器の包皮の一部を切除する割礼は、フィリピンでは「トゥリ(tuli)」と呼ばれる。世界保健機関(WHO)は割礼により異性間性交渉によるHIVの感染リスクが60%低減されるとしているが、ここフィリピンでの15歳以上の割礼率は93%(世界平均は30~33%)と非常に高く、フィリピン保健省も毎年資金提供し割礼の手術が衛生的かつ安全に行われるよう配慮している。
この割礼、ユダヤ教やイスラム教では信仰の一環として行われるが、大多数がローマカトリック教徒であるフィリピンでは宗教的意味合いはない。根底にあるのは“割礼を済ませることで大人の仲間入りができる”という伝統的・儀式的考え方で、割礼が済んでいないといじめや冷やかしの原因にもなりかねない。
割礼のベストシーズンと言われるのは、学校が休みに入る3月から5月。術後は痛みを伴い安静にする必要があるためで今月、マリキナ市の小学校で行われた集団割礼には300人以上が集まった。
親に連れられ学校にやってきた少年たちは、控え室に集められ順番を待つ。手術にかかるのは数分だが、どの顔も不安そうだ。自分の番が来ると教室の机の上にズボンをぬいで横たわり、麻酔が打たれた後局部にメスが入れられる。
グアバの葉を噛んで割礼の痛みに耐えたという時代もあったようだが、麻酔をしても子供たちの顔は苦痛で歪んでいる。術後は痛みがひどく局部が腫れ上がるので、ズボンの股間部分が患部に当たらないように指でつまんで歩く姿があちこちでみられる。
マリキナ市では2011年に1500名の男児が一斉に割礼を行い、ギネス世界記録の申請をしたが衛生面・リスクなどの対応がおざなりであるとして却下されている。またイギリスの裁判所では今月、「子供が自分で必要かどうか判断できる年まで、割礼はすべきでない」という判決が下され話題になっていた。
出典:http://www.dailymail.co.uk
(TechinsightJapan編集部 A.C.)