昨年8月から2度ほどお伝えしていた「クロストリジウム・ディフィシル誘発性大腸炎」、そして腸内環境を劇的に改善させる「腸内便細菌叢移植療法」についての話題。すでに中国では小児病院ですらこの療法を取り入れていたもよう。今また“便提供ボランティア募集”と謳っていることを『澎湃新聞』などが伝えた。
院内感染あるいは抗生物質など薬剤の使用が原因となって、腸内フローラが乱れて起きる「クロストリジウム・ディフィシル誘発性大腸炎」。激しい下痢、熱、血便、腎不全を引き起こし、アメリカでは毎年50万人がこれを発症し、うち5~6%が診断から1か月以内に死亡する怖い大腸炎である。この治療法として今とても注目を集めているのが、健康な人の腸管に存在する微生物を患者の腸内に注入するというもの。その治癒率は90%、体調が劇的に改善されることも特徴だそうだ。
英米ではこの研究がどんどん進められているが、臨床現場での実績に関しては実はお隣の中国が一歩リードしていたもよう。善玉菌を棲みつかせることを目的に健康な人の便の成分を患者の大腸に注入する、そんな治療法が数千年前からあったというデータが残っているそうだ。現在、地域住民に「もっと便が必要です。譲って下さい」と呼びかけているのは「上海市児童医院」。2年にわたり腸内便細菌叢移植療法で良い治療成績を上げてきたが、ストックが間もなく尽きてしまうとしている。
協力できるのは18歳から40歳までで、下痢や便秘のない健康な腸内環境であることが求められるため健康診断も受ける。晴れて登録された場合は1か月あたり10~15回分の便を提供するが、採ったら2時間以内に同病院に持っていくことが条件となるため、交通費として1か月あたり200元(約3,500円)の支給がある。便に関してはあくまでも無償で提供してほしいそうだ。
最近では米マサチューセッツ州の非営利団体『OpenBiome』が、週5回の便を提供できれば最大で1週間あたり250ドルの報酬を支払うという “便バンク(Poop Bank)”を設立し、話題を呼んでいた。彼らはこの腸内便細菌叢移植療法をさらに進化させた、内服型の「大腸カプセル(便細菌移植カプセル)」の誕生を約束して大きな期待を集めている。
出典:http://xw.qq.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)