病魔に侵された自分のせいで最愛の母親には大変な苦労をさせてしまった。でも最期に母親の明るい素敵な笑顔が見たい。そんな気持ちから21歳の息子は人生の大きな決断をする。中国・山東省から実にハートブレーキングな話題が飛びこんできた。
2014年7月に「急性リンパ性白血病」を発症した山東省に暮らすWang Peihongさん(21)。そのために行われた化学療法は14回におよび、費用は40万人民元(約700万円)を超えて一家の財政をおおいに苦しめていた。
『人民日報(People’s Daily)』によれば、Peihongさんの父親は2011年に交通事故により死亡している。それ以来、母親のFeng Tiancaiさんは息子と自分のため畑を耕して精一杯お金を稼いできたが、そんな中で息子は白血病を発症。生き甲斐を失いかけてしまったTiancaiさんを励まし続けたのは、亡き夫とは兄弟にあたるWang Zhaotaiさんであった。老いた母親の世話やPeihongさんの看病をよくみてくれる優しい人柄に魅かれ、TiancaiさんはいつしかZhaotaiさんと恋仲に。そんな中で先月7日、Peihongさんは突然の高熱に体調を崩す。その時彼はこう考えたという。
“このまま治療を続けても、もう意味はないのかもしれない。しかもお母さんのお金をすべて使い果たしてしまう。僕の治療はもういいから、その分でお母さんとZhaotaiおじさんに結婚式を挙げてもらおう。お母さんの幸せそうな姿を目に焼き付けてから僕はあの世に逝きたい。そうでなければ悔いが残る。”
息子のその提案に決して同意しなかったTiancaiさん。しかしPeihongさんの決心は固く、彼は中国版“LINE”こと「WeChat」を通じて挙式費用を集めるためのキャンペーンをスタートさせ、彼の夢を応援しようという人々から多くの善意が寄せられたという。
そして先月26日、カップルはついに式を挙げて親族、友人、知人ら大勢の招待客がそれを祝福した。感激の涙が止まらない母親Tiancaiさんの手を優しく握る孝行息子のPeihongさん。ところがその2日後、Peihongさんは母親に手紙を残して家を出てしまった。その手紙には丁寧な文字でこう綴られている。
~親愛なるお母さんへ~
『お母さん、あなたがこの手紙を読んでくれる時、もうここに僕はいません。ふらっと旅に出てゆっくりとしたいだけです。どうか僕を捜さないで。お母さんのウェディングドレス姿は最高に美しく、本当に素晴らしい花嫁さんでした。ここまでの21年間、あなたのために何もしてあげられなかった僕ですが、最後に少しだけ恩返しができたのであれば嬉しいです。』
『僕はあなたに大変な心配をかけてしまいました。もうこれ以上、僕のために心を痛めないでください。21歳まで育ててくれて、いつも優しく看病してくれて本当にありがとうございました。お母さん、Zhaotaiおじさんと2人、末永く仲良く幸せに暮らしてください。』
中国ではこの話題、そして優しい息子が母にしたためたこの手紙について、「涙が止まらない」といった声がインターネット上にあふれているもよう。最愛の息子は一体どこへ消えてしまったのだろうか。Tiancaiさんがこれに泣き崩れてしまったことは言うまでもない。
出典:http://cpc.people.com.cn
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)