エジプトの裁判所がこのほど弱冠4歳の男児に「終身刑」を言い渡し、波紋を広げている。罪状では男児が4件の殺人、8件の殺人未遂、公共物破損および公務執行妨害を犯したとあり、世界の人権擁護団体が動くことは必至とみられている。
英メディア『independent.co.uk』が伝えているところによれば、このほどエジプト・カイロ西部でアーメッド・マンスール・カルミ君というたった4歳の男の子に対して殺人の嫌疑がかけられ、裁判でこともあろうに「終身刑」が言い渡されたもよう。しかし事件当時のアーメッド君の年齢が1歳であったことから、誤認逮捕もはなはだしいと人々はただ呆れかえっている。
事件の容疑者として挙げられた115人のうちの1人であったというアーメッド君。検察当局はロクな捜査もせずにその全員に対して終身刑を求めたという。アーメッド君についたファイサル・アル=サイド弁護士は、2012年9月生まれであることを証明して殺人など犯せる年齢ではないことを主張しようとしたものの、裁判所の手違いによりそれは受け入れられなかった。
同弁護士は『エルサレム・ポスト』紙に、「裁判所はこの案件を軍事裁判所に移してしまいました。おまけに私が提出した出生証明書を裁判官に渡してくれなかったのですよ。容疑者のリストに誤って男児の名が載ってしまっただけなのに」と激しい怒りをぶつけ、ほかの弁護士も「この国には正義などありません。ここでは良識も道理も通用しない。一部の精神異常者が支配して間違った方向に進んでしまった国家なのです」と述べている。
残念ながら、女性や子供を大切にしない国として挙げられることも多いエジプト。宿題を忘れた12歳の男子児童が教師にいく度も殴られて頭蓋内出血で死亡するなど、児童虐待事件の話題が非常に多い。また最近では、屈指の進学高校で成績がトップであった女子高生が医大を受験したところ、「7科目すべて0点につき不合格」との結果を得て差別や弾圧だと訴えたが失敗。文部省も敵に回ったと報じられていた。
出典:http://www.independent.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)