ホッキョクグマが同種の子を食べることは珍しいことではないと言われる。しかし人間がその場面に遭遇することは滅多にない。『news.nationalgeographic.com』から、昨夏カナダ北東部の北極諸島バフィン島で捉えられた貴重な映像が届いた。
ホッキョクグマのオスは大きいもので800キロ、平均でも500キロはあり、1週間でアザラシ1頭を捕食しないと個体の体重を維持することが難しい。餌となるアザラシが減る夏の終わりから秋にかけて、ホッキョクグマのオスが同種の子を食べる“共食い”が増えることは研究者たちの間でよく知られている。しかし近年の温暖化の影響もあり、2015年2月には北極域の海氷面積が過去30年で最小を記録。年々北極の氷が解ける時期も早まっており、氷上で狩りをするホッキョクグマの生存を脅かす事態となっている。
2011年には、報道写真家のジェニー・ロスさんが『journal Arctic』で「アザラシを捕ることができず飢え死にするホッキョクグマが増えています。そんな中でオスの成獣にとって比較的安易に捕食できるのが同種の子なのです」とホッキョクグマの共食いが年々増加傾向にあると警告していた。
こちらの動画は今月23日、YouTubeに投稿されたものである。メスの2倍もあろうかという体格のオスが動きの遅い小さな子に走り寄り、母親の隙をついて捕獲。その後何度も首や頭に噛みついている。母親も何とか助けようとするものの、身の危険を感じてか途中で諦めてその場から離れてしまった。厳しい自然の中で生きる過酷さを教えてくれるようだ。
出典:https://www.youtube.com
(TechinsightJapan編集部 A.C.)