カナダで今、「右の目は義眼。そこに超小型カメラを埋め込んである私は“アイボーグ”」と語る男性が話題になっている。事故により眼球の摘出手術を余儀なくされた彼は「小説や映画のサイボーグからインスピレーションを得た。現代の技術を生かせば義眼にカメラを埋め込む手がある」と語る。普通の人が適わないような的確な視点でものを捉えることが特長のようだ。
カナダ・トロントで映画制作に携わり、自身を“アイボーグ(Eyeborg)”と名乗る現在43歳のロブ・スペンスさん。過去に起きた散弾銃の暴発事故により右目を失っていた。それから義眼による生活を余儀なくされていたが、この目がカメラだったら面白いのにという発想からプロジェクトを立ち上げ、協力者を得て、このほどついに右目に高性能の超小型カメラが埋め込まれたことを自身のウェブサイト『eyeborgproject.com』で発表した。
カメラの収納カバーでもある、見た目もかなり自然な義眼を作ってくれたのはフィル・ボーエンさん。そこにワイヤレスカメラのエンジニアであるコスタ・グラマティスさんが参加し、彼は最強の電子ツールを軍の施設に提供してきた実績を持つ「RF-links」社に、超小型高周波トランスミッターを注文。最後に電気技師のマーティン・リングさんが加わってプロジェクトは進められたという。
これにより、スペンスさんの右目のカメラが捉えた映像は彼の手元のモニターに表示されるようになった。見たもののすべてを画像や録画のデータとして保存できるようになると試験や目撃証言などですさまじい力を発揮するが、場合によっては他人のプライバシーをおびやかす盗撮行為にもなりかねない。発想は素晴らしいものの、それを歓迎する人ばかりではないことを忘れてはならないスペンスさんである。
また、そうなると人は“カメラに視神経を接続し、映像を脳が直接読み取ることはできないのか”と考えるもの。実は2013年の秋、中国・山西省から興味深いニュースが飛び出していた。香港の大病院の眼科チームが事件で両目を失った6歳男児に対し、義眼を埋め込み、舌には脳に通じる電極を取り付ける。パルス変換された画像が脳に伝わり、わずかでも見える喜びを再び体験できるようになると説明された。義手や義足同様、義眼の研究開発もまさに日進月歩であるという。
出典:http://eyeborgproject.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)