このほどレバノンで、スパイやテロ活動を想像させるハゲワシが捕獲された。体に何やらデバイスを付けて南の敵国イスラエルから飛んできたため、大きな騒動となっていたことをエルサレムのメディア『Jerusalem Post』が伝えている。
イスラエルとレバノンの関係が完全に悪化した2006年の「レバノン侵攻」は記憶に新しいが、イスラエルからレバノンに最近飛来した一羽のハゲワシについて両国間の亀裂がさらに深まるような騒動が起きていたことがわかった。
問題のハゲワシは、イスラエル国境から約4kmというレバノン南部の町Bint Jbailの住民が捕らえたもの。シロエリハゲワシ(Griffon vulute)という種類で体は非常に大きく、「怪しい部品を体につけたハゲワシを捕まえた。爆弾テロが心配」という通報にレバノン政府や警察に緊張が走ったという。
このことがイスラエルに伝えられると、自然動物保護にあたっている「イスラエル自然・公園局(Israel Nature and Parks Authority 以下INPA)」はそのハゲワシを一刻も早く解放するよう要請。しかしそのハゲワシが体に怪しいデバイスを付けていることから、レバノン当局は当然ながらイスラエルによるスパイ活動を視野に慎重な調査を進めたのであった。
ついに判明したそのハゲワシの正体。2015年7月にスペイン・カタルーニャ州からアルキア・イスラエル航空でイスラエルに空輸され、先月下旬、ティベリアス湖にも近いガムラ自然保護区にて解き放たれた一羽であった。身につけていたデバイスについても、ハゲワシの生態系や繁殖について調査しようとテルアビブ大学の鳥類研究室が取り付けたことが分かり、26日にレバノン側は「解き放った」と発表。しかしINPAは、ハゲワシのその後の追跡が不可能になっているとして解放を疑っているもよう。ハゲワシ一羽が原因で大きなトラブルに発展しないよう祈るのみである。
出典:http://www.jpost.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)