シリアの首都ダマスカス近郊の町であるマダヤは昨年7月、政府軍に包囲されて以来、4万人とも言われる住民に援助物資が届いていない。人々は飢餓や栄養失調と闘いながら懸命に生きようとしている。
マダヤだけでなく、反政府勢力によって1年以上包囲されているシリア北部の町ケフラヤとフアの住民3万人も孤立状態にある。昨年9月にヘリコプターで食料を配給する空軍基地が反政府軍によって制圧されてから状況が一気に悪化した。
英メディア『BBC』によると、マダヤでは砂糖が1キロ200ドル(ダマスカスでの値段の152倍)、米1キロ120ドル(91倍)、小麦粉1キロ120ドル(152倍)、牛乳1キロ300ドル(283倍)という高値で売られており、人々は犬や猫、草を食べて空腹をしのいでいるそうだ。また食べ物を探している間に銃撃されたり、地雷で命を落とすなどといった例も報告されている。病院では麻酔なしで手術を受けざるを得ないなど医薬品も不足しており、状況はかなり深刻だ。町の周りには軍により少なくとも25のチェックポイントがあり、人々が逃げ出さないよう見張っているのだ。
マダヤの住民、ルアイさんは、アムネスティ・インターナショナルのインタビューに「最後にきちんとした食事をしたのは1か月半も前のこと。今は木の葉があるけれど、冬が来たらそれさえもなくなってしまう。どうやって生きていっていいのかわからない」と答える。燃料の不足で水をくみ上げるポンプが作動せず、水不足にも直面しているという。
ICRC(赤十字国際委員会)の広報担当者パウル・クシシェック氏は「この3つの町は長い間食料や医薬品といった最低限の援助物資さえ届かず、国際社会からも見放されてきました。本格的な冬を迎える前に対応できないままでは、さらに多くの命が失われることになります」と語り、援助の準備を進めている。
こういった状況に対して、WFP(国連世界食糧計画)は今月7日にシリア政府の許可を得て、10日には援助物資の搬入を予定していたが遅れているもようだ。戦闘地域での安全な搬入経路の確保は従来から課題として挙げられているものの、搬入遅れの理由は明らかにされていない。ICRCも今後この地域への継続的な支援が可能かどうか模索中だという。
出典:http://www.dailymail.co.uk/news/index.html
(TechinsightJapan編集部 A.C.)