数年前から本格的に「あなたの愛するペットをクローンとして複製させます」と宣伝するようになっていた韓国の企業。救助犬、警察犬、賞に輝いたチャンピオン犬などのクローン化に倫理面での問題を指摘する専門家も多いが、そこには確実に“注文”が集まっていたもよう。このほどイギリスのある夫婦が…。
問題のクローン開発企業は、こちらでも2013年に記事で紹介したことがある韓国ソウルの「Sooam Biotech」。クローン研究の専門家であるWoo Suk Hwang博士による監修のもと、愛犬家の多いイギリスでのビジネス展開を図り、“あなたの愛犬を複製しませんか。一生あなたのそばに居てくれますよ”と謳っていた。
“ペットロス症候群”という言葉も認知度を増しているとおり、やはりそれなりのニーズがあるということか。今年6月、ボクサーの愛犬“ディラン”くんを脳腫瘍で亡くした英ヨークシャー在住のローラ・ジャックさん、リチャード・レムドさんのカップルは、同社に134,000英ポンド(日本円にして約2,400万円)を支払うことでディランの複製を注文。今週末にも子犬の状態で2匹を受け取るとしている。
「ただの子犬じゃない。ディランのDNAが100%なんです。50%ではなくて100%なのがとにかく嬉しい」と話し、子犬の到着を待ちきれない様子のリチャードさん。クローンを作るにあたり要求されたのはディランの皮膚細胞。つまり皮を提供しなければならないため、「その死体をしばらく冷凍庫に保存した」と告白して愛犬家らを仰天させた。
ただしクローン誕生の陰で犠牲になるのは、卵子を提供するメス犬と代理母となるメス犬。ともに用済みとなれば飼育者がいないため殺処分あるいは市場に出されるためだ。「Sooam」の創業は2005年、すでに700頭以上の実績があるという。ペットに関しても生命倫理を重んじてきたイギリスだけに「ついに我が国からも初めての注文客が」としてやはり物議を醸しているもようだ。
※ 画像はdailystar.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)