とても礼儀正しく、非常に印象の良いある夫婦に家を貸した家主。だがそれは夫婦の仮の姿であった。注射器、腐った牛乳、殺鼠剤、死んだネズミ、ポルノビデオ、凄惨を極めた家庭内暴力の痕跡。そしてその末に起った最悪の悲劇。貸し出した家の中で次々と明らかになった真実は正視できるものではなかった。『FOX 4』ら複数のメディアが驚愕の事件を伝えている。
米ミズーリ州西部に位置するカンザスの田舎町で家の所有者であるジェニファー・ホバーズさんが、ヘザー・ジョーンズ(29)と夫マイケル(44)に一軒家を貸し出したのは1年半前であった。ホバーズさんによると、夫妻は礼儀正しく好印象で、家をとても気に入り、よくよくは購入したいとも話していたという。7人の子供が一緒だったという夫妻に、ホバーズさんは「私も子供がいますからね。この家は50万ドル(約6050万円)もの価値があったのよ。あの夫妻だったらきっと喜ぶに違いないと思って貸し出したわ」と当時を振り返る。
だが、家族が雇っていたベビーシッターによると、家の中は荒れ放題で足の踏み場もないほど散らかっており、子供たちの生活状態を憂慮した近所の人が児童相談所に幾度となく連絡するなど、常に問題を抱えていたようだ。またへザーの兄の証言によると、父であるマイケルは妻のへザーや子供たちに日常的に虐待を繰り返していたとされる。
そんな家族に警察の捜索が入ったのは先月25日。家庭内暴力の末、マイケルがヘザーに発砲したという通報が入った。踏み込んだ警察が7歳のアンドリア君がいないことを不審に思い敷地内を捜索した。豚小屋に足を踏み入れると、そこにはアンドリア君のものと思われる遺体の一部が放置されていた。
へザーは事件が発覚する数日前に父親に電話をかけてきており「夫マイケルが息子を殺し、豚に食べさせた。これはきっと大ニュースになるわ」と淡々と話していたという。この凄惨を極める事件の真相はいまだ謎のままだが、夫妻は児童虐待と第1級殺人罪などで逮捕起訴、一緒に住んでいた2歳から10歳までの6人の女の子は保護されている。
夫妻の逮捕後、約1年半ぶりに所有する家に戻ったホバーズさんは、その変わり果てた様子に絶句したという。「家の中は黒いカビで覆われ、壁には銃弾の跡が残り、バスルームの壁ははがされ、プールはゴミであふれていたわ。小さな籠にネズミがつめこまれていて、そのそばにはファストフードの食べ残しが散らかっているのよ。この家でどんなことが起こっていたのか、想像するだけで恐ろしいわ」とホバーズさんはショックを隠しきれない。
息子を殺害した上、豚の餌にするという異常な犯行にマイケルには1000万ドル(約12億円)、へザーには500万ドル(約6億円)の保証保釈金が設定された。1000万ドルという保釈金は、34年間カンザス州ワイアンドット郡で検事をしてきたジェロメ・ゴーマンさんが知るなかで最高額だそうだ。
※ 画像はdailymail.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 A.C.)