ピットブルの雌アビー(Abbey)と雄のズース(Zeus)が初めて出会ったのは米フィラデルフィアのスペランザ動物保護施設(Speranza Animal Rescue)だ。虐待を受け保護された2匹の出会いから結婚式までの様子を英メディア『metro.co.uk』が伝えている。
アビーはひどい虐待の末、テキサスのハイキル(High Kill)シェルターと呼ばれる殺処分の確率が極めて高いと言われる収容施設にいるところを、スペランザ動物保護施設によって保護された。アビーと一緒に保護された他の2匹はすぐに里親が見つかるが、アビーは犬にも人にも拒絶反応を示し、ズースに会うまでの800日あまりをスペランザ動物保護施設で友達もできずに過ごした。一方のズースも野球のバットで殴打されて全身あざだらけ、しかも片目の状態で保護され、シャイな性格と虐待のトラウマから誰にも懐こうとはしなかった。
そんな2匹が出会ったのは2013年の夏のとある日。施設のホームページには「アビーとズースは施設の庭でお互いの存在を確認すると、その瞬間からまるで何年も一緒にいるかのように離れませんでした。ズースはどこに行くにもアビーの後ろをくっついていくんです。活発な性格のアビーが臆病なズースの心の支えになり、アビーは心を許せる友達ができたんです。痛みを抱えた2匹はお互いに“魂の伴侶”を見つけたんでしょうね」とのボランティアの言葉が残されている。
2匹が出会って1年半後の昨年のクリスマス直前、若いモレッティさん夫妻から里親の申し出があった。夫妻は施設でズースとアビーの存在を知ると、2匹一緒に引き取ることを快く了承した。「施設は喜びであふれていました。あの2匹を可愛がってくれる温かい家族ができるなんて夢のようです。それも2匹一緒にここを去ることができるなんで、なんてありがたいことでしょう」この出来事を施設では“クリスマスの奇跡”と呼び、2匹の門出を祝って誰もが涙したという。
さらに幸せは続く。先月下旬、2匹はたくさんの人々に囲まれてスペランザ動物保護施設で結婚式を挙げたのだ。バージンロードを歩くアビーにそれを待つ神父とズース。誓いの言葉はこう読み上げられた。
「アビー、あなたは私に愛と幸せをもたらしてくれました。スペランザは私の命を救ってくれましたが、あなたは私の魂を救ってくれました。私は愛を持ってあなたを生涯支えることを誓います」
「ズース、あなたの温かい愛は自分だけではどうにもならなかった私の心の傷を癒してくれました。あなたが信じることを教えてくれました」
「健やかなるときも病めるときも富めるときも死が二匹を分かつまで、愛し合うと誓いますか?」
「ワン」「ワン」「ワン」2匹は首輪を交換し式場を後にした。
※ 画像はubertopic.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 A.C.)