炭鉱での不当な労働条件に激怒し、その開発と管理にあたる政府所有企業や子会社に強く抗議していたモンゴル労働組合のあるリーダー。彼が記者会見の場で焼身自殺を図り、人々を震撼させた。
中国との国境に面したモンゴル国南部にある世界最大規模の炭鉱「タバントルゴイ」。多くの炭田の開発と管理に政府所有企業のエルデネスMGLがあたっているが、その子会社「Erdenes Tavan Tolgoi LLC」が中国人労働者を優遇し、モンゴル人労働者から仕事を奪っているとして激しい抗議を続けていたモンゴル労働組合のあるリーダー。メディアも多数集まった記者会見の席でポケットから取り出したライターでスーツに火をつけ、上半身は瞬く間に炎に包まれた。
この画像は英メディア『dailymail.co.uk』が伝えているその記事のスクリーンショット。本人がイスから崩れ落ちた後の様子で、男性数名がジャケットなどを脱いでかぶせるなど懸命に消火にあたったが、部屋全体に煙が充満し、なかなか悲鳴が収まらなかった。リーダーは焼身自殺を図る直前に、こんな言葉を漏らしていたという。
「モンゴル政府はもうこの会社、そしてそこで働く自国の労働者の味方ではないのですね。彼らも家族も飢え死にするしかありません。モンゴルの人々、子供たちのため、私は自分の体に火をつけることでそれに強く抗議します。」
今年10月、タバントルゴイで働いていたモンゴル人労働者203名に対し、「Erdenes Tavan Tolgoi LLC」は彼らが理解できない英語の労働条件を示して合意させ、中国の会社が擁する別の鉱山に強制的に移動させていた。ここから労働組合による猛烈な抗議が続けられていたという。リーダーはすぐに外科専門病院の「National Trauma and Orthopedic Research Center of Mongolia」に搬送されたが、体表面の40%に火傷を負っており、重体と伝えられている。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)