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writer : ac

【海外発!Breaking News】米で子宮移植手術が開始。性同一性障害者にも希望。

子宮移植手術は子宮を欠く出産適齢の女性への支援であり、これまでにもサウジアラビア、トルコ、スウェーデンにおいて臨床応用がなされている。このたびアメリカでもこの画期的な手術が行われる予定であることを『Tech.Mic』が報じた。

子宮移植手術は2014年9月にスウェーデン・ヨーテボリ大学(University of Gothenburg)の病院で出産した36歳の女性が世界初の成功例として報告されている。これまでに9人が子宮の提供を受け、4人が出産。1人は来年1月に出産を控えている。手術は子宮が存在しない、もしくは子宮は存在しても妊娠や出産する能力がない子宮を持つ女性が対象とされ、出産可能年齢を超えた女性は対象外だ。

今回アメリカで初の子宮移植手術の臨床応用が行われるのは、オハイオ州クリーブランドにあるクリニックである。現在、全米各地から妊娠を望む8名が手術のためのスクリーニング検査を受けている。そのうちのひとり、2人の養子の母であるという26歳の女性は『Times』とのインタビューに「自分にもチャンスがあるのなら、是非手術を受けてみたいわ。つわりとか、お腹が張る感覚とか、自分の中で赤ちゃんが動く素晴らしさを経験したいの。この時をずっと待っていたんだもの」と手術を心待ちにしている。これまで4,000~5,000の腎臓や肝臓などの移植手術を手がけてきたというAndreas G. Tzakis博士(65)は、スウェーデンの医師のチームとタッグを組み、アメリカ初の本格的な子宮移植手術に向けて準備を進めてきた。移植による拒絶反応や感染症などのリスクも指摘されているが、子宮の移植は通常の臓器移植医療と異なり、あくまでも1~2人の子を出産するまでの一時的なものであり、出産後子宮は摘出される。こうすることで患者は免疫抑制剤を一生服用する必要がないという。クリニックではまずはテストケースとして10回の手術を行い、今後の継続が可能かどうかを決めるとの方針を示している。

また、あくまでも試験段階ではあるが、この医療の進歩は性同一性障害者にも妊娠の可能性を広げるものとして期待されている。自身の性別に違和感や嫌悪感を抱き、性自認の違いに苦しむ性同一性障害者。ホルモン治療や性別適合手術を受け希望の性に移行するのは費用がかかる上、精神的負担は想像以上に大きい。男性が女性になる場合、性ホルモンの摂取、精巣摘出、陰茎切除、造膣など数々の手術を受ける必要があり、身体的にもかなりの負担になる。性同一性障害者の支援者であり、ワシントンD.C.を拠点に活動する非営利組織「Center for American Progress」に勤めるサラ・マックブライドさんは「妊娠が可能になるということは、男性から女性への性別適合手術を受けた性同一性障害者の精神的苦痛の緩和につながるのでは」とクリニックの示した方向性を歓迎している。

常に倫理問題が付きまとう中、代理出産に代わる方法として、アメリカ国内で5万人ともいわれる不妊に悩む女性や、妊娠を希望する性同一性障害者への画期的な治療法として定着するかどうか、今後の動きに注目したい。

※ 画像はmetro.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 A.C.)