死期の近い患者に対して、身体的・精神的な苦痛を軽減して最期まで人間らしく生きることができるようにとの考えから生まれたホスピス。このたび、アメリカの科学者らがホスピスの患者にインタビューした結果が公表された。英『metro.co.uk』が伝えている。
ホスピスで終末ケアを受けている66人の患者を対象に、臨死体験についてのインタビューを行ったのは、ニューヨーク州バッファロー市に本部を置くカニシャス大学の科学者たちだ。報告には次のように書かれている。
「ほとんどの患者には、一日に一度は亡くなった親族や友人などの姿が現れる現象が起こる。死が近くなればなるほどその姿を見ることが多くなり、それはより鮮明になっていく。この“死者の訪問”は場合によっては数時間、数週間、長くて数か月にも及ぶことがある。それは夢や幻覚ではなく、実際に起こっているような感覚を伴うという。」
研究者のひとりである内科医Christopher W. Kerr氏は、「死の直前にこのような経験をすることで、患者は死を受け入れて恐怖がなくなっていくのです。つまり臨死体験はとても意味のあるものです。2013年に行われた調査では、死者の訪問を受けた89%の患者が安らかな死を迎えたと報告されています」と語る。しかしながらこれは薬の副作用や精神錯乱によって起こる幻覚にすぎないとして、患者に何らかの処置を施す医者も多いという。誰もが迎える“死”。一度じっくり向き合って考えてみるのもいいのかもしれない。
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(TechinsightJapan編集部 A.C.)