このほど米ミネソタ州で、ある優秀なオス犬の去勢の是非をめぐる裁判が始まった。チャンピオン犬で鳴らすも去勢手術を勧められ、8本分の冷凍保存の精子が残されたことを後ほど知ったオーナー。そこに大変な値がついたことを知り、激怒してブリーダーを訴えたのだ。
白のトイプードルと間違えられることも多い、“ビション・フリーゼ(フランス語:和訳すると巻き毛のマルチーズ)”という犬をご存じであろうか。フランソワ1世やアンリ3世もペットとして愛した犬で、戦争の時代を経て1950年代になると人気の舞台はアメリカに移り、その純白の綿帽子のようなスタイルには根強い支持者がいる。
ミネソタ州でこのほど、数々のショーでチャンピオンに輝いたオスのビション・フリーゼ、“ボー・レモン(Beau Lemon=7)”の去勢の是非をめぐり、オーナーのジョン・ワングスネスさんがブリーダーのヴィッキー・ハルステッドさんを訴えた裁判について、ミネアポリスの『スター・トリビューン』紙が伝えている。ボー・レモンは2011年~2012年に行われたブリーダーが注目するいくつかの大会で、いくつもの金賞をさらった優秀なオス犬。2013年にハルステッドさんの手で去勢手術を受けていたが、ある獣医の元で8本分冷凍保存されているボー・レモンのものとみられる精子に287万円もの高値がつき、トラブルが始まった。
ワングスネスさんは法廷で、妻メアリーさんが去勢手術に「かわいそうに」と泣きながら反対していたこと、その悲しみを抱えたまま病死していたことをも訴えた。彼はハルステッドさんがボー・レモンのオーナーである自分たち夫妻に嫉妬し、嫌がらせの意味で強制的に去勢手術を行い、同時にボー・レモンの精子で大儲けしようとしているとしてハルステッドさんを提訴。600万円を超す賠償金の支払いを求めたのだ。
ビション・フリーゼは愛玩犬には珍しく体が丈夫で病気知らずと言われる犬種だが、ハルステッドさん側は「世話をしないワングスネスさんからボー・レモンを救出する必要があった。健康状態が悪かったので、いずれにせよ子を繁殖させる力は持っていなかったであろう」と説明。また、その高値がついた精子はボー・レモンのものではなく、その兄弟で自分たちが育てている“ボー・ジャングルズ”のものであるとし、ワングスネスさんの言いがかりだと主張している。
※ 画像はmetro.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)