赤ちゃんに母乳を与えることの効果についてはこちらでも様々な話題をお伝えしてきた。最近はまた「母乳育ちは高IQ」なる情報まで飛び出し、粉ミルク派のママたちをガッカリさせていたが、これについてはどうやら…。
世界各国で強く見直されるようになった母乳育児。母乳の分泌が女性ホルモンのエストロゲンを抑制するため、女性特有のがんの予防に一役買い、赤ちゃんに関しては愛情ホルモンのオキシトシンが脳を癒し、心を豊かに育てていくことが知られている。また健康面においても抵抗力が強くなる、乳幼児突然死症候群、喘息、アトピー性皮膚炎などを発症する確率が下がるとも言われる。
そこに今年3月、「母乳育ちの子は高IQ」なる研究結果まで発表され、粉ミルク派のママたちをいささかがっかりさせていた。ブラジルで行われたある研究において、成人就労者約3,500人の乳児期を調査したところ、母乳育ちの者ほどよりIQが高いことがわかったというのだ。だがこれに異論を唱えたのはロンドン大学ゴールドスミス・カレッジのソフィー・ヴォン・スタム博士率いる研究チーム。オンライン学術誌『PLOS ONE(Public Library of Science ONE)』に、「母乳育ちか否かで生涯のIQに差が付くことなどまずありません」と発表したのである。
これは「双生児初期発達研究(Twins Early Development Study)」における研究の一環で、血液型、DNA、性別が同一という一卵性双生児において栄養摂取、養育環境の差がどういった変化や差をもたらすかを観察するものだが、この調査においては11,000名の双子たちが協力。母乳育ちの子と粉ミルク育ちの子に分け、早くからIQを測定した。その結果、2歳児の段階では母乳で育てられた女児のIQが少しだけ高いことが確認されたが、16歳までにはそうした差がなくなってしまうことも判明したという。やはり先進国においては、子供の学力向上のために必要なものは家庭環境、親の教育に関する熱意、入学した学校のレベルなどであろうとしている。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)