ここ数年、英メディアをにぎわしているのが毒グモについての報道である。温暖な気候の年に生息数が増えるとあって、特に気温が下がるこの時期から室内での被害が急増するとのこと。実に小さい体ながら、毒グモはイギリスの人々の日常生活の中で確実な脅威となっていることを『metro.co.uk』が伝えている。
イギリスで近年、増えているのがカガリグモ属の「ニセゴケグモ(英名:False widow spider)」に噛まれる被害。人を噛むクモの中で最も危険な毒を持っているという。こちらでは今からちょうど1年前、ダラム州で40代の女性が子供たちと公園で遊んでいたところ、このクモに左手の人差し指を噛まれて指が壊死し、切断と6週間もの入院を余儀なくされたことをお伝えしていた。「あと2時間遅ければ壊死性筋膜炎で命すら落としていたでしょう」と医師が説明するなど、非常に深刻な状況であったという。
外より室内の温度が高くなる秋にこの毒グモに刺される症例が多発するイギリスだが、「Pest Management Consultancy」という害虫駆除業者の職員は、「カガリグモ属のイギリス在来種は6種類ほどで、室内でも生きていけることがわかっています。都市部より郊外の環境を好み、かつ飲食店や一般家庭のキッチン、温室、トイレ、ブロック、窓枠、玄関ポーチ、ロフト、ガレージなどどのような場所にも潜んでいる可能性があります」と話している。
ちなみにイギリスでは、時おり輸入バナナからシボグモ科の「フォニュートリア・ドクシボグモ(英名:Brazilian wandering spider)」という毒グモが発見されることが問題となっている。これに噛まれると呼吸困難や神経麻痺症状が現れ、抗血清の投与が遅れれば死亡する例も。ガラガラヘビの30倍も強力な毒だといい、ブラジルでは年間数百件の被害が出ている。バナナの皮に白いカビのようなふわっとしたものが付いていることが特徴だという。
※ 画像はmirror.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)