またしてもサナダムシに侵された患者の話題であるが、このたびの症例は米テキサス州から飛び込んで来た。感染ルートについては、なんと2年前のメキシコ旅行で摂った食事が疑われるという。自身が気を付けていても調理する側の衛生管理状況に問題があると…!?
激しい頭痛に長年悩まされ、視野もぼやけるようになったことから、脳の異変を疑って専門医の診断を受けたテキサス州ダラス郡のガーランドに暮らすヤディーラ・ロストロさん(31)。画像診断によりサナダムシの存在が疑われて開頭手術が行われた結果、なんとサナダムシの卵が入った嚢が8つも摘出されたことをダラスのメディア『WFAA‐TV』が報じている。
ロストロさんの手術を執刀した「Methodist Dallas Medical Center」の神経外科医、リチャード・メイラット博士は彼女の了承を得て手術の様子を動画でも公開しているが、「透明な嚢につつまれた卵を発見し、私も強いショックを受けました。頭痛が始まった時期からさかのぼって感染の時期をさぐると、2年前のメキシコ旅行が疑わしいです。サナダムシに侵されている者が大便を触った手で食べ物を提供していた可能性があります」と述べている。また手術には右半分の頭髪を丸く刈って臨んだロストロさんだが、幼い子供もいるだけに命には代えられない。手術は無事成功したものの完全に回復するには9か月を要し、また「写真はどうか見せないでください」と拒んでいるという。
両生類や爬虫類を食する文化のある人々はともかく、現代人がサナダムシに感染することはまず激減した。たいていの場合はヒトの体の外に排泄されるが、それがうまくいかないと胃腸症状および皮膚にイボ状の小結節が次々と現れる。そこで気づかないと幼虫は嚢を破りながら、あるいは血流に乗って体内を移動し、棲みついた場所によっては失明や脳障害に至ることもあるという。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)