今では多くのアメリカ人の日常生活に深く入り込んでいる「医療用マリファナ(大麻)」。含まれている化学物質カンナビノイドに様々な薬理作用があるとして、嗜好用大麻とは異なり医薬品の扱いで処方される。この医療用マリファナへの期待が世界的にアップするのではないかと思われる、ガン治療に関する重要な研究結果が発表された。
脳の扁桃体に働きかけて鎮痛・沈静の作用をもたらすほか、脳細胞の新生、うつ改善、心的外傷後ストレス障害(PTSD)のトラウマ克服にも役立つことがわかり、先進諸国を含む10以上の国々の医療現場で処方されている医療用マリファナ。アメリカでは「ガン細胞を死滅させる効果」について研究がかなり進められていた。そんな中でこのほど、米国保健省が管轄する「国立がん研究所(The National Cancer Institute)」が、公式ウェブサイトのガンに関するコーナーで大麻使用を推奨する新たな説を発表したようだ。
「医療用大麻に血管新生の抑制効果、ガン細胞を死滅させる効果があることがわかった。吸引、食べる、あるいはそのハーブティーを飲むか舌下にその液体をスプレーで吹き付けることで、辛い副作用のあるガン治療を助ける可能性がある」というもので、ほかにも抗炎症作用、抗ウイルス作用、多発性硬化症によるけいれん症状の緩和作用などが挙げられ、マウスによる実験の様子も詳しく示された。
中国やインドでは医療用として大麻を紀元前から使用していたと言われるが、その後ヨーロッパでもローマやイギリスが使用。アメリカでは現在ほぼ半数の州が医療用大麻の使用を認めている。日本も古くは江戸時代の文献に使用例が記載され、1951年の法改正までは鎮痛剤として用いられていたが、現在は大麻取締法により厳しく規制されている。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)