世界中から年間300万人もの観光客が訪れる米「イエローストーン国立公園」で1週間ほど前、むごたらしい遺体となって発見されていた60代の男性従業員。公園の管理当局はその後、“グリズリー”ことハイイログマが彼を襲って遺体の一部を食べていた可能性を発表したが、その後にしかけた罠には続々とクマがかかっているもようだ。
アイダホ、モンタナ、ワイオミングの3州にまたがり、真っ青で美しいアルカリ性の高熱温泉、高く噴き上げるダイナミックな間欠泉などが有名な「イエローストーン国立公園」。そこで今月7日、男性従業員ランス・クロスビーさん(63)が「レイクビレッジ」という宿泊エリアから800メートルほど離れた「エレファント・バック・ループ・トレイル」で遺体となって発見された。体の一部は食いちぎられ、前腕に残っていた傷跡や地面の足跡からハイイログマの親子がハイキング中のクロスビーさんを襲った可能性が濃厚に。その後に設置された罠に1頭のメスのクマがひっかかり、DNA鑑定の結果はクロであった。
また同国立公園は11日、立て続けに2頭の子グマが罠にひっかかったことを報告した。先週捕獲されたメスのクマがその母親である可能性をめぐり、子グマについてもDNA鑑定が行われている。もしも親子であることが判明した場合、母クマの安楽死はすでに決定しているが、子グマについても動物園か動物医療保護センターが引き取らない限り、やはり安楽死が選択されるという。
クロスビーさんはモンタナ州ビリングスの出身で、季節雇用の看護師として5シーズンにわたり同国立公園内の医療施設に勤めてきた傍ら、ベテランハイカーとしても知られていた。当時、“Bear spray(クマよけスプレー)“を携帯していなかったことが悔やまれている。大自然が残る付近一帯にハイイログマは約750頭以上生息しているとみられるが、2010年以来この国立公園でハイイログマに襲われて命を落とした人の数は6名。これまで観光客には「ここのクマに襲われる確率はきわめて低く稲妻に打たれるほど稀」と説明していただけに、関係者の間でも緊張が高まっている。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)