writer : namika

「家族が仲良しだから大丈夫」は危険。遺産相続の3割が思わぬトラブルに発展する現実。

テレビドラマで、よくテーマになる遺産を巡る争い。現実には、どのくらいの人たちが相続に関するトラブルを経験しているのだろうか。相続の話題は、親戚や友人、あるいは仲のよい家族であっても聞きにくいもの。しかし何も準備をせずに相続が発生した場合、思わぬトラブルが起こってしまうかもしれない。

今回、遺産相続調査委員会が、遺産の相続を経験したことがある人を対象に調査を実施した。まずは、遺産相続が上手くいったかどうかを質問したところ、スムーズに行えた人は全体の約7割。つまり約3割の人が、遺産相続の際に何かしらの不都合があったことが判明したのだ。なかには「大きな問題が生じて大変だったが、手続きを終えた」「問題が生じて手続きを終えられていない」との回答も見られた。

実際にどのような問題が生じたのかを質問すると、最も多かったのは「遺産分割の話し合い・協議」で約60%。相続税の問題が生じたケースは、わずか15%となった。意外にも、問題が起きているのは相続税が生じるような大きな遺産相続のケースではないという。事実、調査では50%以上の人が相続金額は1000万円以下と回答。遺産相続で揉めるのは、お金持ちの人に限ったことではない。「うちは一般家庭だから」と思っている人でも、ある日、突然トラブルに巻き込まれる可能性があるのだ。

では、なぜ相続問題が起きるのだろう。その原因として考えられるのが、事前に相続に対する備えをする人が少ないこと。亡くなった人と相続の話をしたことがあると回答した人は、わずか26.5%であった。さらに「時期が早い」「家族の仲が良いので問題ない」など、様々な理由で相続の話を避けていることもわかった。

そこで、相続トラブルを防ぐためにどのような準備を進めるべきか、りそな銀行の遺言サポートオフィスの曽我さんに話を伺った。

曽我さんによると、相続トラブルは総資産5,000万円以下の人に最も多いことが過去の統計で出ている。その反面「うちには財産が少ないので、自分には関係ない」と語る人が多い。そのため、いざ相続が発生すると、資産の大小にかかわらずトラブルが増えるそうだ。円満な相続を実現するためには、事前に家族や専門家等に相談するなど、準備をすることが必要になるという。

遺産相続に関するトラブルはもはや他人事ではなく、予期せぬトラブルを避けるためにも、家族と将来の相続問題について話し合う必要がありそうだ。
(TechinsightJapan編集部 七海香)