アメリカには何においても負けたくないという今の中国。米航空宇宙局(NASA)に対抗すべく、世界最大の電波望遠鏡を建設中だそうだ。
中国・貴州省の高山地帯に広がるサッカー場30個分という広大なくぼみを利用し、建設が進められている最新型の電波望遠鏡。完成すれば世界最大のものとなるその望遠鏡は『500メートル球面電波望遠鏡(FAST=Five hundred meter Aperture Spherical Telescope)』と名付けられ、「中国科学院国家天文台」が運営するという。画像は中国のメディア『新快報』が紹介した写真を伝えるchina.org.cnのスクリーンショットで、プロジェクトは2007年に開始され、2011年から建設に取り掛かっていたという。
天体を観測する上で、可視光線を集光する光学望遠鏡に対し、電波を収束させて観測するのが電波望遠鏡。現在のところ世界最大級と言われているのはプエルトリコの「アレシボ天文台」に1963年に組み立てられた電波望遠鏡である。しかしそこは2011年ごろから運営が不安定となり、2014年の大地震でダメージを受けて数か月間観測が不能になっていたことも。そのため専門家らは新世代の電波望遠鏡の登場に強く期待し、そんな中で中国はこの電波望遠鏡の2016年のお披露目を約束していた。
より弱いシグナルをも逃さないため、回転放物面のアンテナ(パラボラアンテナ)は直径500メートルという超大型の球面反射面で、4,450枚もの主反射鏡により構成されるそうだ。周囲5kmに電波ノイズを発する施設などは一切存在せず、ドイツの「エフェルスベルク電波望遠鏡」の10倍の感度・敏捷性が期待できると主張する専門家もいる。特徴は肉眼では暗く見える天体も明るく反映されるということ。そのためブラックホールの研究に大きく寄与しているという。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)